第3話 この星とどう上手く付き合ったらよいものか

「○○の星の下に生まれている」という言葉は占いなどで、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。


例えば、懸賞にあたりやすい星・ピンチに強い星などです。

私は「上司から臭かったら教えてほしい。とお願いされる星」に生まれているのだと思う。


新卒で入社した会社の上司は、40代後半のお腹回りが少し気になる営業の男性だった。新卒あるあるかもしれないが、上司へ毎日、業務報告を行っていた。


いつも通り業務報告をしたある日、上司が突然、私に言った。

「僕ね、毎晩、生絞りグレープフルーツサワーを飲んでるんだ。年齢的に加齢臭が出る歳なんだけど、おそらくグレープフルーツの香りだと思う。だから、それ以外の匂いを感じたらすぐ、僕に言ってほしい」

・・社会人とは、時にスーパー売れっ子MCのような頭の回転が必要なんだとこの時に、初めて知った。



その後の転職先の会社は、とても風通しの良い会社で、プライベートでもみんな仲が良く恋バナもたくさんした。そんな背景もあるからだろうか。「なにか俺から臭ったらすぐに、遠慮せず言ってほしい!!」と突然業務中に、社長が私に言った。


そしてある日、本当に言わなければならない日が来た。


―香水の臭さが尋常じゃないのだ。


私は思い切って「臭いです」と社長へ言った。ただ、それだけだと、現実を突きつけているだけで申し訳ないので、「今日はなぜ香水をつけてしまったのか?」や周りへの影響を探る事にした。


「今日はデートですか?それは、本命の女性ですか?それともキャバクラですか?」本命という回答がきたら、すぐに着替えへ帰った方がいい、とアドバイスをするし、違う場合は、まあ、そのままでも。

という気持ちで、その方が相手に親切かな、と思い聞いてみた。しかし、「臭いと言って欲しい」とお願いしてきたのに、今にも泣きだしそうな顔をしていた。どうやら本命とデートだったらしい。

なんて言葉を返すのが正解だったのか、未だにどちらのパターンも答えはでていない。


私は未だ、この星とどう上手く付き合ったらよいかを悩んでいるのに、最近「火傷の痕見て下さい!」と勝手に傷痕を見せられる星もついたようだ。


ただ一つ言えることは、「愛想笑いが上手な星」も私には、きっと、ついている。

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