第5話

「それじゃあ、うちのクラスではメイドカフェをやるってことで!」


 文化祭の出し物決め。教室に響いた学級代表の声。

 私は拳を強く握りしめてガッツポーズをした。


 勝った……!!!




「楽しみだなぁー!鈴と千歳のメイド服」


 ニヤニヤと笑いながら千歳をからかう。

 おりゃっ、なんて言いながら肘でつついていると、千歳は「クソッ」と呟いた。


「まさか男子が悪ノリするとは思わないじゃん」


「やっぱり皆見たいんだよ。いつもカッコイイ千歳の、メ、イ、ド!」


 堪えていた笑いが我慢できずに吹き出す。


 笑ってんじゃねー!!と怒る千歳。

 当日も不服そうな顔でメイド服を着るのだろうか。


 しかめっ面のメイド。それってかなり面白い。


「というか、ナツも着るんだからね?

 そこ分かってる?」


「もちろん!でも私は二人のメイド服が見れるならなんでもいいのー」


「一番タチ悪いよこいつ…」



 千歳は深いため息を吐くけど、実際そうなんだもん。


 いつもクラスをまとめあげているかっこいい千歳。

 身長は高いし、筋肉がついているのに脚がすごく綺麗。きっとメイド服だってかっこよく着こなしちゃうんだろう。



 鈴はもうわかる。まだ見てないけどわかる。かわいい。



「最高の文化祭にしようね!!」


「絶対お化け屋敷行くから覚えとけよナツ」


「うげ、それは勘弁!」



 高校一年生、初めての文化祭。

 さらに千歳も鈴もいるんだから、楽しいに決まってる!


 たくさん写真を撮ろう。

 どんな髪型にしようか。


 まだ先だけど、当日のことを考えると心が弾んだ。

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私の青春 雪うさぎ @snow_0025

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