第4話

「わぁ…千夏、結構買ったね」

「さっき千歳にも言われたけど、そんなにかな?」

「普通なの?私はあんまり服買わないからわかんないや」


 フードコートのテーブル席に座って鈴と話す。

 混んでいるし私が買ってくる、とそれぞれの希望を聞いた千歳はクレープを買いに行ってくれていて、本当に行動が紳士的だと思った。


「じゃあこの後鈴の服も見に行かない?

 鈴可愛いし、似合う服いっぱいあるよ」

「うーん…楽しそうだけど、また今度にしよう?

 その荷物持って歩くのは疲れちゃうだろうし、千歳、明日部活でしょ?

 筋肉痛にでもなったらかわいそうじゃない?」

「そっか。そしたらまた今度行こう!千歳と鈴に似合う服探したい」


「うん。また今度ね」


 そう言って笑った鈴は、きょろきょろと辺りを見渡した。


「千歳おそいね。だいぶ混んでるのかな」

「さっき見たとき人多かったもんね」

「うん……それか持ちきれなかったのかも。

 ほら、あそこのクレープって思っていたよりも大きかったし。

 私、見に行ってこようかな」


 鈴が立ち上がろうとしたちょうどその時、「お待たせー」と千歳が帰ってきた。

 その手を見て私と鈴は首を傾げる。


「やっぱり三つは持ちきれなかった?」


 千歳が持っていたクレープは2つだけ。

 私が頼んだチョコバナナクレープと、鈴が頼んだ…って、あれ。

 イチゴクレープにしてはなんか色々乗ってるぞ。


「それがさぁ、食べたかったあの 限界に挑戦!超山盛りモンブランクレープ!

 …あれ、期間限定だった」


 悲しそうな顔をして肩を落とす千歳。


 SNSで見たのに〜…なんて言っているが、考えてみればモンブランは栗からできてるし、栗は秋が旬だ。

 今は夏。

 千歳、意外と抜けてるところあるんだよなぁ。


「ということで、代わりに 限界に挑戦!フルーツもりもりクレープ 買ってきた!

 イチゴも入ってるし、クリームの量すごいから鈴一緒に食べよ」


「うん!いいよ」


「うわ!!私のこと仲間はずれにして2人でイチャイチャするのか!」


「言い方。ナツにもあげるって」




「ちょっと、千夏ほっぺにクリームついてる」


「えっ、どこ」


「口の横。かわい子ぶるなよナツ」


「いやわざとじゃないし!!」




 __ 三人で分け合ったクレープは、やっぱり甘くて美味しかった。







 それぞれの家へとつながる分かれ道に着いて、それまで繋いでいた二人の手を離す。


「今日は超楽しかった!!また三人で遊ぼうね」

「うん、秋になったらクレープ行くよ」

「ふふ、千歳はモンブランクレープ食べなくちゃね」

「そっか!じゃあ次もクレープ行って…あと服も買おうね」


「服はもう十分じゃん…。

じゃあ私そろそろ帰るね。また学校で」


 そう言った千歳はひらりと手を振って私たちに背を向けた。

 そのひるがえった裾を無意識に掴む。


「もう暗いし、気をつけて帰ってね」


「ん。ナツもね。じゃあねー」

「じゃあね!」



















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