第3話

「到着!!」

「やっと着いた…。ナツ、ちょっと休憩しよ」

「あれ、人酔いしちゃった?」

「逆になんでそんなに元気なの?」

「私も少し疲れちゃったや」

「鈴も?じゃああっちに自販機と座れる場所あるから、二人とも行こ」


すでに疲れている二人の手を引いて、休憩できそうな所へと向かう。



休日で人が多い電車とバスを乗り継いでやってきた、この都市で一番大きなショッピングモール。

文房具だって本だって服だって、ここに来れば大抵はそろってしまう。


自販機で飲み物を買ってから、どこから回るのかを決めることにした。




「ちょっと、買いすぎじゃない?」

「え?」


千歳に言われ、抱えた紙袋たちを見る。


さすがは都市一番というべきか、人気のブランド店が沢山詰まっていたので、確かに調子に乗ってしまったかもしれない。


「でもまあ、可愛かったしおっけー!」

「おっけーじゃないっての!袋持ちすぎて前見えてないじゃん」


そういって千歳は私が持っていた袋のいくつかを持った。


「え、持ってくれるの?ありがとう千歳」

「どういたしまして。…これ以上買うなよ?」

「……ところで千歳は何も買わないの?」


実はまだまだ買うつもりだったのでとっさに話題を逸らす。

私は沢山服を買って、鈴は文房具と本を何冊か買っていた。

けれど、私が見た限りは千歳は何も買っていないはずだ。


「どこか行きたいお店ないの?」

「私はいいよ。クレープ食べるために来たし」

「千夏、そういえばもうお昼過ぎだよ」

「本当だ。じゃあクレープ食べに行こうか」


千歳のおかげで空いた両手で二人と手をつなぎ、私たちは少し遠くにあるクレープ屋へと向かうことにした。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る