3.和尚
和尚と私は本堂の座布団に座り直した。和尚がひどく真剣な顔をしている。本堂の蛍光灯の光が和尚の顔に複雑な陰影を作っていた。和尚の声がした。
「さっき、あんたが本堂に入ってきたときから気になってたんじゃが、あんたの背中に誰かいたんじゃ」
私は思わず後ろを振り向いた。誰もいない。
「和尚。冗談を言いなさんな。誰もおらんぞ」
私はそう言ったが、声は震えていた。
「会合が終わった途端、おらんようになってしもた。だが、会合の間、あんたの背中には女がいたんじゃ」
「女?」
「そう。白い顔をした女が、あんたの背中に覆い被さっておった。若い女じゃったが、あんた、その女に何か心当たりはないんか?」
若い女! 私の口から思わず声が出た。
「雪子」
和尚の声が聞こえた。
「訳がありそうじゃの。わしに話を聞かせてくれんか? そうせんと、あんた、あの女に取り殺されてしまうぞ」
私は雪子のことを初めて
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