第3話「再開」

「そういえば最近、豪突ごうつくを見掛けんな」

我輩は発狂仮面と自宅の縁側で茶を飲んでいた。


「ああ、あいつのことか。確かにここ数日見ないな。どこに行ったんだろうね」

「もしかしたら、奴は暴徒達に目をつけられたのかもしれぬな」

「あり得るかもね。それで、逃げたって感じかな」

次長代官とはいっても所詮は中間管理職。暴徒達に取り囲まれればひとたまりもあるまい。

我輩は豪突の身を案じた。


すると、庭に植えた柿の木の通りに出てる枝がしなり、柿が一個もぎ取られた。

我輩はこういう場合、喜捨きしゃと思って食べてもらう事に決めているのだが…。

「柿の木とは風流だな…ありがたく戴こう」

豪突の声だった。


「おぉ! 豪突ではないか!」

我輩は思わず声をかけた。

「おお、暴動仮面。久しいのう。それに発狂仮面も一緒か」

「やぁ、豪突。生きてて良かったよ」

発狂仮面も続く。

「ああ、俺はしぶといからな。ついこないだまで入院してたがな」

「大丈夫なのか?」

「心配するな。もう、すっかり良くなった」

「それは、よかった」


我輩は安堵のため息を吐くと、茶を一口飲んだ。

そして豪突を勝手口から家に招き入れ、茶を出した。

こう見えて公私の切り分けは明確なのだ。


「ところで、お前らは何をやってるんだ?」

「我輩達は暴徒達の活動を円滑にする為に活動している」


「そうか。まあ、お前らが元気なようで何よりだぜ」


豪突はそう言って茶を飲み干すと立ち上がった。

「茶と柿、美味かったぜ。次回の暴動は恐らくオレが出張るだろうからお手柔らかに頼むわ。じゃあな」


そう言い残して彼は去っていった。

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