第4話
自己紹介や伝達事項が終わりホームルームは解散となった。
伝達の中でグループ演習についても軽く触れられていたが、具体的に何をするかは結局伝えられずグループの当てが無いならランダムに組むから連絡を、といった事だった。
今日はこの後組まれている予定も無く、明日から本格的に授業が始まる。
「それで、他にグループを組む人物がいるのだろう?」
「ああうん、多分そろそろ来るんじゃないかな」
辺りを見渡すとヨルがこちらによってきているのが見える。
そばには一人の女の子がいるのであの子がヨルに捕まった子だろう。
かわいそうに。
「シュウ君おまたせ。一人連れてきたよ」
「僕の方もだよ。こちらの」
「エヴァンだ。よろしく頼む」
エヴァンを見て固まる二人。
そりゃそうだろうな。
「ええっ!ちょっといいんですか!?」
「ああ、構わないとも。今から別を探すのも大変だしな。正直そこの世間知らずが声を掛けてくれてありがたかったさ」
「世間知らずとまで言わなくてもいいじゃん……」
こっちについて知らないことは多いけどさ……
さてはこの王子様も結構ヨルに近いノリをお持ちなのでは?
頼むからヨルが連れてきた子はもうちょっとおとなしい子だといいんだけど。
「それでそっちは?」
「おっと!私はこちら!イリスちゃんです!」
「えっとえっと……イリスです!よろしくお願いします!」
ちょっと気が弱そうな普通の子だ。
結構長い銀髪でヨルと並ぶとなんとも金と銀のの対比で絵画のよう。
「イリスさんよろしくね。緊張しなくても大丈夫だよ」
「いやいやいや!緊張しますって!だって王子様が一緒のグループなんて聞いてなかったんですよ!」
「流石に私もシュウ君がこんなすごい人連れてくるとは思わなかった」
「僕も適当に話しかけた人が王子なんて思わなかった」
「なに、何度も言うが気にすることはない。気軽に呼び捨てでも構わないぞ」
「無理ですよぉ……」
僕は王族とか言われてもあんまりピンとこないけどこれが普通なんだろう。
そう考えるとヨルは豪胆過ぎないだろうか。
気の強さ、鋼メンタルは頼もしい限りだけど。
「さてでは、四人揃ったことだしそれぞれが何をできるか確認しなければならない。希望学科が大体そのままだろうから改めて自己紹介も兼ね、教えて貰えるかな?」
RPGとかでもパーティ構成って重要だしね。
グループ演習でどうせ何かと戦うことがあるんだろ、こういうパターンって。
「そしたら僕から。僕は魔法学部術式科が希望だね。剣とかはさっぱり。でも魔法もこっちに来て入学前にちょっと教えて貰っただけだからあんまり期待しないでほしいかな。」
一年生の授業だったらそんなに技量は求められないだろうけど、かといって自信は全くない。
使えるようにはなったがこちとら元々魔法が無かった世界にいたんだ。
一年くらいで少しとはいえ身に着けられた僕は褒められてもいいと思う。
「俺は戦士学部騎士科希望だ。魔法はからっきしなのでそこは任せることになるな。ただ前に出る事は任せてもらって構わない」
さっきの自己紹介は聞いていたが騎士か。
そんな学科もあるんだな。
ていうかどこまで学科があるんだろう。
他の人の自己紹介を聞いていた感じかなり種類があるようだけど。
「戦士学部剣士科希望で、魔法戦士を目指してるよ。だから一応前も後ろもオッケー!」
遊撃とかになるかな。
あとはイリスさんが何が出来るかで決まるけど流石に全員の自己紹介は覚えてないからな……
この子なんだっけ。
「イリスさんは?」
「はい。魔法学科医療科希望です。回復術師を目指してるので」
「回復術師?」
要は回復魔法を扱う魔法使いってことかな?
パーティバランスとしては申し分ないのではないのだろうか。
「ということは一年生の間はあまり期待できないな。」
「そうですね……すいません。一応迷惑にならない程度に他の魔法も勉強するつもりです」
「いや構わないさ。回復術師の卵は貴重だろう。そちらもしっかり頑張ってくれ」
え?どういう事?
一年生の間は期待できない?
「ごめん、よくわからないんだけど何で一年生の間はダメなの?」
「あぁこれも知らないのか。回復系の魔法はそのクラスを持っている人しか使用することを許されていないんだ。魔法とはいえ医療、つまりは専門職だからね。一応クラスⅠから存在はしているがⅠの間は監督官が居るところでしか他者へ使えず、クラスⅡでもどこか医療系の場所での研修の為のクラスだから自由に使えるのは実質クラスⅢから。取得難易度も相まって回復術師は常に人手不足らしい」
あっちの世界での医師免許みたいなものか。
そういう所も意外としっかりしてるんだな。
しかし、どこの世界も医療の人手不足は深刻らしい。
異世界だけに。
「とりあえず前衛二人後衛二人でバランスは大丈夫そうだな」
「そうだねー。演習はちょっと先だけどしばらくよろしくね!」
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