第2話
トコトコと歩いて着いた講堂は外も中も意外と普通で、所々に書かれている文字がこちらの物な事を除けば向こうにあっても違和感が無いくらい。
もうそろそろ始まるのであろう、中に置かれている椅子もあらかた埋まっており僕たちも着席した。
「ここの講堂思ってたより普通だね」
「色々な用途で使われてるみたいだし変なものも置けないでしょ」
それもそうか、何かあるんだとしても倉庫だろうし。
少し手持無沙汰になり、周りを眺めてみると先生と思われる人たちが座っている列が目についた。
エルフだったり獣人だったりと、かなりファンタジー色が強い絵面でちょっとワクワクする。
が、その中でおかしなものが目についた。
「んん?」
「どうしたの?」
「いや……あそこにさ」
ちょっと距離があってよくは見えないが、先生たちの中に一羽白い鳥が混ざっている。
しかも所謂魔法使いの帽子を頭に乗っけておりその場でおとなしくしていた。
「あれ鳥かなんかだよね」
「どの先生かの使い魔じゃない?」
「そっか……凄いな……」
そりゃ使い魔を使役してる人もいるか。
……なんで式に使い魔を連れてきてるんだ?
そんなに重要なのか?
入学式そのものは思いのほか普通だった。
多分日本の大学とそんなに違いはない気がする。
途中で気になったことといえば学長の挨拶で出てきた人が思っていたより若かったことだ。
中腰で長い白髭、杖を持った魔法使い風の風貌とかじゃなくて少しだけガッカリした。
式の途中でこの学校の説明もあったので事前に聞いていた話と合わせてちょっと振り返っておこう。
僕が入学することになった、アランティム魔法大学はこの世界にあるどこの国にも属していない学術府だそう。
中身は地球の大学と同じように学科と学部があり必要な単位をそろえて卒業という形。
違う所としては条件を満たせば卒業を延期できる点、一年生は全員総合学部初等学科に所属となる点がある。
これは一年生の間に魔法の基礎やそのほか必要なことを学ぶためだそうで、ここを飛び級は出来ないそう。
ただし、最初の授業で受講の必要なしと認められればその単位は取得となり、場合によっては半年や一年丸々好きに使える状態の生徒もいるようだ。
流石に僕は全部受けるけど。
特に何か起こることもなく、式は終わり教室の方へ移動となった。
あの鳥は終わると同時にどこかへ飛んで行ってしまった。
誰かについていくこともなく行ってしまったのであの場の誰かの使い魔ではなかったのかな。
「あれ?そういえばヨルはどこのクラス?」
「第二だよ。シュウ君は?」
「同じだね」
世界中から生徒が集まってるだけあって一年生だけでも結構な数がいる。
一クラス百人前後いるらしいが自分がどこのクラスが伝えられているだけで全部で何クラスあるのかは分からない。
というか一年生だけで結構居そうなのに学校全体だと一体どれだけいることやら
「学校の周りの町とかも含めたら他の国の大規模な町並にはいるみたいだよ」
「……本当に心は読めてらっしゃらない?」
「凄いよねー」
この子は本当になんなんだろうか……
そういえば、町の方は全然行ってないな。
お世話になってる家は町の方だけど、どちらかといえば住宅街って感じだし。
「入学の準備で全然行ってなかったけど町の方も見て回りたいな。」
「そうなんだ。落ち着いたら一緒に出掛けよっか」
学術府って、要は国だよな。ほんとに。
町があって、土地も結構広いらしいし。
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