異世界の大学に進学しましたが、こんなにも物騒なものですか?
@arbusrem
第1話
皆さんこんにちは!普通の日本人でした、小城 柊です。
僕は先月で高校を卒業し、この度大学へと進学することになりました。
今日はその入学式で、式が行われる講堂までの道では様々な呼び込みの声が聞こえてきます。
「補助具の購入はこちらです!杖、本、指輪等各種取り揃えてます~!」
「魔物食同好会です!魔物たちの美味しい食べ方を一緒に研究しましょう~!」
「筆記具やそのほか小物はこちらでお買い求めください。新入生には割引が利きます。色んな爆音が響くことがあるので耳栓は必須ですよ」
僕が、進学したのは、異世界の魔法大学でした。
事の始まりは日本で僕が高校二年生の春休みの時。
卒業後の進路について悩んでいる時にノエル、という女性の方と出会ったんです。
ノエルさんは異世界「マツルギ」のアランティム魔法大学という所の先生だそうで、僕に高校卒業後の進路にこちらはどうかという提案をしてきました。
そんな話を最初から信じた訳ではありません。
ただそれでもノエルさんから見せられた魔法やその道具、僕にかけてくれた言語理解の魔法で信じざるを得なくなったのです。
言語理解で伸びた英語の成績でかなり先生に怪しまれましたが……
でも、実際に魔法大学に進学するかは別の話、いったん考えさせてほしいとその日は家に帰りました。
家に帰ったら両親から魔法大学行きをめっちゃ勧めてきました。
何故か外堀が埋められていました……
それから高校三年生のうちにある程度、異世界魔法の基礎知識や常識を教えられ、卒業してすぐにマツルギの方へ移住した。
異世界は思っていたより近代的で、街並みこそ中世チックだったが魔法の道具や簡単な機械もありかなり今の日本に近い環境かもしれない。
行ったことないけど欧州とかはこんな感じなのかな。
こちらでの住居はノエルさんが使っていた家とのことだがその当人がこちらにいない。
地球の調査中とのことでノエルさんの娘に預けられた。
「で、入学の準備やらなにやらしてたら今日になってしまったというわけですね」
たまに聞こえてくる正気を疑うような呼び込みや遠くから聞こえてくる爆発音から現実逃避するために、今までのことを振り返ってみたがこれからここで生活するのだ。
いい加減目の前のことに集中せねばなるまい。
ていうか何の爆発音なんだ。
なんで新入生以外は気にしている様子が無いんだ。
「入学式までまだちょっとだけ時間ありそうかな」
式の後にそれぞれ所属するクラスのホームルームがあるらしく、そこで友達も作れるだろうが出来れば今のうちに一人でもいいから知り合いを作っておきたい気もする。
周りを眺めれば同じように新入生っぽく、一人であちこちをキョロキョロ見ている人もいるようだし話しかけてみようか。
「なんて私も考えたから声をかけてみたんだけどどう?」
「っ!」
急に後ろから声をかけられ咄嗟に距離を取る。
そのまま誰なのかを確認すると金髪の、おそらく同じくらいの年の子がいた。
「「心でも読めるのか」って?こんなところで周りの人を確認してる同じ新入生の考えることなんて簡単じゃん」
「そういう所で損してそう」
言葉が重なって二度驚いたが、この子の雰囲気なのかなんなのか微妙に残念感がある。
結構かわいい系なのにときめかないのは立ち振る舞いや今の短いやり取りからノリの軽さを見たからか。
とはいえこれは渡りに船、ちょうどいいのでは?
「でででで!どう?私としばらく行動しない?」
「まぁ誰かしらを探してたのは確かだしよろしくお願いしたいかな」
こちらがそう言い手を差し出すと、この子も手を握って握手をしてくれた。
にっこり笑顔でとてもかわいいんだけどやっぱりときめきとか、ドキッみたいなのがまるでなさそうなんだよな……
「僕はオシロ シュウ。シュウの方が名前ね」
「私はヨル。家名があるなんて珍しいね。実は結構偉かったりする?」
「ちょっと遠い所から来ててね。そっちでは普通の人でも家名を持ってたりしたんだけどこっちだとそうでもないんだ」
「そうだねー。地域によるけど平民は持ってないことの方が多いかな」
なるほど。意外とこの辺はしっかりファンタジーのお約束っぽいんだな。
ということはこのヨルも平民……にしてはちょっと雰囲気が……
日本で生きてたから高貴っぽさも平民っぽさも全く違いが分からないけど。
考えるだけ無駄な気がする。
「そろそろ講堂の方に行こう?他の人を捕まえるのはその後のホームルームで」
「まだ捕まえる予定なのね……」
「演習グループの事考えるとあと二か三は欲しい」
「そうかい」
グループで演習とかあるんだ。後で色々聞いておこう。
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