第2話 私のほうが……

 放課後、一人で教室に残って、スマホのカメラ機能で撮っておいた授業の板書を見ながらノートをとっていた。

 もう少しで板書が終わりそうなところで、廊下を歩く女子生徒たちの話が耳に入った。


「告白してフラれたんだって」

「うわわ、つらいね」

「あの二人、教室でもよく話してたから付き合えると思ったんだけどねぇ」


 誰の話かわからないけど、話の内容は理解した。だからこそ少し苛立った。


告白できただけいいじゃん。

私なんて、1年間も彼女がいる先輩に片思いしてる。勇気が出ないから話しかけに行くこともできない私のほうがつらいよ。


「おーい。川本ぉ?」

「こばせん……、なんでここにいるの」

「遅いから見に来た。他人の恋バナ聞いて傷心してる暇あったら課題終わらせろっての」

「こばせんにはわからないよ」視線を落とす。


 こばせんは私の目の前の席に腰かけると、私の机に頬杖をついた。


「聞いてあげようか。片思いの話」


 今まで聞いたことがないくらい優しい声だったから思わず泣きそうになった。でも泣かないように我慢して、少し声が震えながらも思っていることをすべて話した。

 先輩のことを話している間、こばせんは絶対に私から視線をそらさなかった。

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