第二十三話 蓮と狐の秘密③

「うぅ……くっ――も、もう限界、ですっ」


 と、聞こえてくる寝狐の声。

 同時、開かれる寝狐の部屋の扉。


 そうして、蓮の視界に映ってきたのは……。

 魔境だった。


「なんだ、これ」


 壁一面に貼られているのは、エッティな女の子のタペストリー。

 天井を覆い尽くすばかりの半裸の女の子のポスター。

 そして、本棚を満たすどころか、床に溢れかえっているのは――。


「このエロゲの量は……いったい――はっ!?」


 と、ここで蓮はさらに気がついてしまう。

 それはつけっぱなしになったPCモニターだ。

 そこに映っているのは――。


「お、一昨日発売した……新作?」


 おかしい。

 どうしてこれがここにあるのか。

 なんせ、蓮はこの作品をまだ買ってない。


 いや、そもそも。

 蓮はこんなにエロゲもってない。


(っ……だめだ、頭が混乱してきた。俺は今、何を見せられているんだ)


 などなど。

 蓮がそんな事を考えたその時。


「我慢……しようとしたんです」


 と、聞こえてくる寝狐の声。

 見れば、彼女はふるふる狐尻尾を震わせながら、蓮へと言ってくるのだった。


「わ、私は……っ! 私はれ、蓮さんのお世話するより……え、エロゲして……た、怠惰に過ごす方が大好きな体に……な、なってしまったんです!」

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