第二十一話 蓮と狐の秘密
この日。
蓮は学校をさぼった。
だがしかし。
かつて蓮がしたときの様に、クソみたいな理由ではない。
(もしも、俺が学校に行っている間――寝狐が隠れて買い物とかしてくれているなら、絶対に止めないと)
そうしなければ、寝狐の体調は悪化する一方だ。
いくら蓮のためとはいえ、絶対に間違っている。
とまぁ現在。
蓮はそんなこんなで、家の近くの電柱で張り込みを続けている。
(なんとく予想はしてたけど、なんかすごい不審者っぽいな)
実際、何度か変な目で通行者から見られている。
けれど、仕方がないのだ。
もし、家から寝狐が出てきたら止める。
そして、事情を問いただす。
(そのためなら、俺の名誉なんてどうでもいい)
などなど。
そんな事を考えたその時。
「~~~~~~~~♪」
と、聞こえてくるご機嫌な歌声。
というかこれ、寝狐の声だ。
(なっ!? どうして通りの向こうから、寝狐の声が聞こえてくるんだ!?)
寝狐はまだ、家から出ていない。
まさか、出るところを見逃して――。
「っ!」
と、ここで蓮は気がつく。
寝狐には瞬間移動能力があることを。
(そうか。買い物先の近くまで瞬間移動して、帰りは家の近くまで瞬間移動してるんだ!)
まったく考えていなかった。
最悪、鉢合わせしていた可能性もありえる。
けれどまぁ、なにはともあれ。
(寝狐は買い物袋持って、家に帰ってきてる! ってことは、やっぱり外で買い物をしてるってことだ!)
止めなければならない。
そして、それをするときは――。
「寝狐!」
と、蓮は電柱の陰から飛び出す。
そして、寝狐の方へと駆け寄っていく。
すると。
「っ――れ、蓮さん!?」
と、バツが悪そうな顔をする寝狐。
蓮はそんな彼女へと言うのだった。
「何を……買ってきたの? 寝狐はどこに、行ってたの?」
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