第十六話 ヒメは悶えてみる
時は蓮とのエンカウントから数分後。
現在。
「っ……はぁ、はぁ」
ヒメは全力ダッシュで、校舎裏までやってきていた。
その理由は簡単だ。
「な、なんであいつが体育倉庫に来るのよ!?」
しかも、いったいどういうつもりなのか。
蓮は――。
(む、昔のあたしを覚えていて……変わってなくて、安心したって)
てっきり、蓮には忘れられていると思った。
ヒメが彼の幼馴染だということを。
「…………」
ついつい蓮を突き飛ばし、逃げ出してしまった。
だが、逃げ出さないわけがない。
ずっと。
小さい頃から変わらず、大好きな蓮と二人きり。
しかも、その状況でそんな事を言われてしまえば。
(あたしと結婚するって約束は……覚えてくれている、わけない……か)
もしも、それも覚えてくれていたら、とても嬉しい。
だがしかし、なにはともあれ。
これは大いなる進歩だ。
ヒメがそう考える理由は簡単。
ヒメはツンツンした性格を拗らせすぎ、蓮に近づけなくなっていた。
でも。
「今回の事を口実に、蓮とまたお話できるようになるかも!」
言って。
ヒメは鼻歌スキップで、一人歩き始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます