第18話

戻ってくるとテツさんの部屋の前に男が二人立っていた。


「テツサン、戻たもどたー」

「テツさん、戻りました。……そちらの方は?」


1人は20代後半から30代位の浅黒い肌で髭を生やし、日本語が片言だ。

もう一人は50歳前後くらいのくたびれた中年という感じだ。


「おう、戻ったか。こいつはこれからここで寝泊りすることになるツカサだ。ツカサ、さっき紹介できなかった二人でマルとシゲだ」

「ツカサです。よろしくお願いします」

「どうも、よろしくお願いします。シゲと呼んでください」


シゲさんと握手をし、マルさんにも手を差し出すとマルさん手を出してくるが、その手は俺の手を通り過ぎて体に回された。


「ツカササン、よろしく。マルだよ」


ギューッと力強いハグを受けて戸惑っているとテツさんフォローを出した。


「ったく。いきなり抱き着いてんじゃねぇ。あ~、喋り方と見た目で分かってるだろうが、こいつは日本人じゃなくてな。それハグは文化の違いとでも思ってくれ」

「わかりました」


そう言って少し力を入れてハグをし返すとようやくマルさんが離れた。


それからテツさんが二人から今日の成果を受け取ると小屋で二人と一緒に数を確認し、ノートに数を書き留めるとそれぞれ自分の小屋に戻っていた。


「さてと、説明も済ませたし顔合わせも済んだ。時間もいい頃合いだしメシにするか」


時間を確認すると7時を少し過ぎた所だった。


「そうですね。お腹も空いてきました」


テツさんが部屋の奥の箱からカセットコンロと鍋を取り出すとペットボトルの水を注ぎ、お湯を沸かし始めた。


「そうか、レトルトを温めないといけないからカセットコンロと鍋も用意しないといけないですね」

「そうだな。まぁ、しばらくは俺の所にくればいい。俺の分のついでで良ければ温めてやるよ」

「いいんですか?」

「ついでだからな。いちいち使った水とガスの値段考えるのもめんどくせぇしな」

「ありがとうございます」

「ただし、なるべく早く用意しろよ。お前だけいつまでも特別扱いできないからな」


そう言って沸騰したお湯にレトルト食品をいくつか入れた。


「そうだ、ここでのルールとは関係ないんですけどダンジョンとかステータスについて聞いてもいいですか?」

「答えられる内容なら答えてやるぞ」

「俺のスキルの一部のアイテムを鑑定できるスキルがあるんですけど、スキルレベルが全然上がらなくて。ドロップするアイテムに片っ端からスキルを使ってるのでそこそこの回数使ってると思うんですけど。スキルレベルってどうやったらあがるんですかね」

「スキルレベルならとにかくそのスキルを使うことだな。ただし同じことばっかりやっててもスキルレベルは上がらないぞ」

「そうなんですか?」

「伝わるか分からんが、美術品とかだって一つの作品だけを何度見返したって見る目は養われないだろ?もちろん見返すことも大事だが、それだっていろんなものを見てから見返すから効果があるんだ」

「なるほど」

「鑑定系のスキルなら全く違うものを色々鑑定してみることだな」

「わかりました。とりあえず、やってみます」


それから夕食を食べながらしばらく色々と質問をさせてもらってその晩を過ごした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る