第17話
テツさんの段ボールハウス内でここでのルールを教えてもらった。
要約するとこんな感じだ。
1.お互いに詮索禁止
2.プライベート空間を作る時は3畳程度の広さを上限とし通路を半分残すこと
3.火の取り扱いは要注意
4.夜の見張りは10時から朝6時まで1人2時間のローテーションで行うこと(見張りの時間帯は毎日ローテーションで1人は免除)
※俺の加入で免除は2人になる
5.ゴミ、トイレは所定の場所に出す(する)こと
「夜の見張りが10時からなのは何でですか?」
「リポップのタイミングの問題だ。リポップ時間はダンジョンによって変わるがここではおおよそ4時間だ。朝狩ったやつは戻ってくる時にはもうリポップしてるからそれを狩って大体次のリポップは大体8時から9時くらいだな。リポップしたからといってすぐこっちに来るわけでもないし、10時くらいから見張りをしてれば十分だ」
「なるほど」
「ここでのルールはざっとこんな感じだ。あと
「あっそういえば今朝ここに来るまでに3階層のモンスターを狩ったのでドロップアイテムを渡しておきます」
カバンから分けておいたヘッドラビットの魔石を取り出してちゃぶ台に置いた。
「グループに加わる前に狩ったもんだし渡す必要はないんだが、まぁ受け取っておく。ありがとよ」
テツさんは魔石を受け取ると部屋の隅置いてあった袋にしまった。
「よし、じゃあついてこい。便所とゴミ捨て場の場所を教えてやる」
「はい」
そう言うとテツさんは部屋の隅に置いてあった箱を手に取って外に出たので後に続いて外に出るとそのまま4階層方面へ歩き出した。そして最初の分かれ道を右に曲がった。
「3階層の地図は持ってるんだったな?」
「持ってますよ」
「じゃあこの先はどうなってるか分かるか?」
「ちょっと待ってください。……この先に丁字路の突き当りがあって左右どちらに行っても割とすぐに行き止まりです」
「そうだ。左に行くとすぐ行き止まりでそっちがゴミ捨て場。右に行くと一回曲がり角があってすぐ行き止まり。そこが便所だ」
そこまできてふと疑問が頭をよぎった。
「……あの、ゴミ捨て場もなんですけど、トイレって出したものはどうなってるんですか?」
「ダンジョンに処理させてるな」
「ダンジョンが処理?」
言っていることが良くわからなくて首を傾げる?
「ダンジョン内で放置されたものはしばらく誰にも見られていない状態で近くに誰もいないとしばらくして消えることは知っているな?」
「はい、……あぁなるほど。キャンプ地から適度に離れていて、曲がり角をいくつか曲がった先だから目に付くことも無くて放っておけば勝手に消えるんですね」
「そういうことだ。ほら、そこを左に曲がればゴミ捨て場、右が便所だ」
丁字路を突き当りまで来て左を見ると少し先に行き止まりが見える。
「今日出したゴミはもう分解されてるな」
そのまま右に目を向けると少し先で左に曲がっている。
「今は誰も使ってないみたいだな。便所を使うときはこういう使用中の目印を立てておけ」
そう言って持ってきた箱から段ボールを半分に折って自立するようにした使用中と書かれた札を出した。
「用を足してるときに鉢合わせなんてお互い御免だからな」
それはこちらも御免だ。
しゃがんで用を足してるときに鉢合わせするのを想像して眉をひそめながらうなずいた。
「それから用を足すときはどっちでも中身の見えない、できれば黒い袋に出せ。100均で黒いビニール袋が50枚入りくらいで売ってるからな。それを匂いが漏れないようにしっかり縛ってゴミ捨て場の隅に出しておくんだ」
「ゴミ捨て場に捨てるんですね」
これにも思わず眉をひそめる。
「用を足しに来た時に他の奴が出したもんが隅にあったら気分悪いだろ?」
「それは、まぁ、そうですね」
「黒い袋でゴミ捨て場の隅なら目立たないし、用を足す時みたいにしばらくそこにとどまるわけでもないからな」
「わかりました」
出したものを通り道とは言えわざわざゴミ捨て場に持っていくことを考えるとひそめた眉が戻らない。
トイレに関しては眉をひそめっぱなしだ。そのうち慣れるだろうか?
「それから、ここで長く活動するなら便器替わりにこういうゴミ箱を用意した方がいい。袋の口を広げて地面に置いてするのは外すことがあるからな。ゴミ袋の口を折り返してゴミ箱に引っ掛けてそこに座れば失敗することはないからな。部屋に置いておく時は札とゴミ袋、トイレットペーパーなんかをまとめて仕舞っておけるしな」
「……ずいぶん細かく説明してくれるんですね」
「そりゃ、適当に使って汚くされたら困るからな。いくら消えるとはいえ汚されたら臭うし、汚れた状態に鉢合わせするかもしれないからな」
確かに人が出したもので汚れたトイレなんか使いたくないな。
「わかりました。用意しておきます」
「よし、それじゃあ戻るぞ」
戻ってくるとテツさんの部屋の前に男が二人立っていた。
「テツサン、
「テツさん、戻りました。……そちらの方は?」
1人は20代後半から30代位の浅黒い肌で髭を生やし、日本語が片言だ。
もう一人は50歳前後くらいのくたびれた中年という感じだ。
「おう、戻ったか。こいつはこれからここで寝泊りすることになるツカサだ。ツカサ、さっき紹介できなかった二人でマルとシゲだ」
「ツカサです。よろしくお願いします」
「どうも、よろしくお願いします。シゲと呼んでください」
シゲさんと握手をし、マルさんにも手を差し出すとマルさん手を出してくるが、その手は俺の手を通り過ぎて体に回された。
「ツカササン、よろしく。マルだよ」
ギューッと力強いハグを受けて戸惑っているとテツさんフォローを出した。
「ったく。いきなり抱き着いてんじゃねぇ。あ~、喋り方と見た目で分かってるだろうが、こいつは日本人じゃなくてな。
「わかりました」
そう言って少し力を入れてハグをし返すとようやくマルさんが離れた。
それからテツさんが二人から今日の成果を受け取ると小屋で二人と一緒に数を確認し、ノートに数を書き留めるとそれぞれ自分の小屋に戻っていた。
「さてと、説明も済ませたし顔合わせも済んだ。時間もいい頃合いだしメシにするか」
時間を確認すると7時を少し過ぎた所だった。
「そうですね。お腹も空いてきました」
テツさんが部屋の奥の箱からカセットコンロと鍋を取り出すとペットボトルの水を注ぎ、お湯を沸かし始めた。
「そうか、レトルトを温めないといけないからカセットコンロと鍋も用意しないといけないですね」
「そうだな。まぁ、しばらくは俺の所にくればいい。俺の分のついでで良ければ温めてやるよ」
「いいんですか?」
「ついでだからな」
「ありがとうございます」
「ただし、なるべく早く用意しろよ。お前だけいつまでも特別扱いできないからな」
そう言って沸騰したお湯にレトルト食品をいくつか入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます