第16話
4階層に降りて時計を見ると11時になるところだった。
「ちょっと早いけどここで昼休憩をとって、5時位まで探索。それから戻ればちょうどいいくらいか。探索時間は5時間ちょい。どのくらい稼げるかな?」
おにぎりでサッと昼食を済ませると階段に座って食休みがてら声に出して4階層の復習をする。
「4階層の魔物はレッサーブラッドバットだったな。いわゆる吸血コウモリで攻撃方法は取りついて噛みつきだけど歯は鋭くないし、顎の力も弱いから肌が露出してる場所以外は噛まれても問題ない。対応方法は飛ぶ速度は遅いから飛んで来たらカウンターで切るか叩き落とすだったな」
30分ほどの食休みを取ると探索を開始する。
「これで10匹目だけど本当に問題ないな」
俺の足元で黒いコウモリが消えて魔石が残った。
「黒っぽくて見づらいけどある程度近づけばさすがにわかるし、飛んでくるスピードは1階層のスライム以下だから飛んでくるのに気が付いてからでも十分対応できる」
魔石を拾いあげてもう一つ魔石を取り出した。
「素材鑑定の結果は他の魔石と変わらなかったけど継承の方はどうかな?」
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継承可能項目
・風属性(微弱)
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「おっ、風属性か。水以外は初めてだな。そういえばヘッドラビットの魔石をテツさんに渡してなかったな。戻ったら渡さないといけないけど継承の内容だけ確認しておくか」
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継承可能項目
・土属性(微弱)
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「こっちは土属性か。ドロップを使って何か作れるようになれるといいんだけどな」
継承スキルをキャンセルすると4階層の探索を再開した。
「テツさん、戻りました」
予定通り4階層の探索を終えて、3階層のキャンプ地に戻ってくるとテツさんの小屋に向かって声を掛けた。
「おう、待ってたぞ」
そう声がしてテツさんが小屋から出てくるとそれに続いて金髪のチャラい見た目の男と角刈りの見るからにヤのつく男が続いて出てきた。
さすがにこの小屋に男三人は狭くないか?
「まだ二人帰ってきてないが、とりあえずこの二人は先に紹介しておく」
「あんたが司君っすか?差し入れあざーっす」
チャラそうな金髪は言動もチャラかった。
「ったく、紹介の途中だってのに。このチャラいのはショウだ」
「21歳、元ホストのショウでーっす」
「えっと、よろしく」
「そんでこっちが…」
「差し入れありがとよ、俺はジンだ。一応雲隠れしてる身なんでな。本名とシノギは勘弁してくれ」
「は、はい。よろしくお願いします」
仕事をシノギとかっぽい人じゃなくて本物か?
「紹介ついでにここのルールの一つを教えておく。詮索禁止だ。こんなところに来るのは訳ありばかり、自分が話すのは止めないが人のことは詮索するな」
「わかりました」
「それじゃあ俺はこいつにここのルールを教えとくから」
「あぁ、俺はこれで失礼する。どのくらいの付き合いになるか分からんが、よろしく頼むわ」
ジンさんがそう言って俺の肩を叩くと一つ隣の段ボールハウスの入っていった。
「じゃあ俺も失礼しまーっす」
ショウも指二本をこめかみから前に振るチャラい敬礼をするとジンさんとは反対の段ボールハウスに入っていった。
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