第10話
「それならいくつか理由があるけど今は7~8人位は入ってるはずですよ。多少は出入りがあるから正確な人数は分からないですけど。今の時期は大体みんな3階層辺りで寝泊まりして時々出てくるくらいですね」
入り口の受付にいる人はいつも対応が悪いのでレンタルカウンターで武器を借りるついでに他にダンジョンに入っている人を見掛けないことについて聞いてみるとそんな回答がきた。
「ダンジョン内で寝泊まりしてるんですか?」
「
「でもモンスターが出るじゃないですか」
「別に死ぬような攻撃してくるようなモンスターは出ませんし、交代で見張ってれば問題ないですよ」
そう言われると確かにそうだと納得してしまう。
「でもなんで3階層なんて中途半端な階層に?」
「下の階層に行くほど階層は広くなっていくんですけど3階層の広さとモンスターの湧き具合、後はダンジョンの入り口までの距離のバランスが一番良いらしいですよ。区画分けをして担当を決めて、その中でモンスターを狩ってるみたいですけど上の階層だと一人当たりの成果が少なくなりますし、下の階だと売却とか買い出しのためにダンジョンから出るのが大変ですから」
「ダンジョン最深部から入り口まで戻ってこれる転移装置はEランク以上のダンジョンにしかないんでしたっけ?3階層から出てくるのにはどのくらい時間が掛かるんですか?」
「転移装置についてはそうですね。3階層からなら最短ルートを通れば2時間掛からない位です。5階層からだと5時間位掛かりますけど最短ルートで戦闘時間は含めてない計算です」
「じゃあ実際にはもう少し時間が掛かるんですね。」
3階層に降りるようになったら勝手にモンスターを狩るより、先にそのグループと話しをしてグループに加えてもらうことも考えた方が良いかもしれない。
以前何かで見たが、ホームレスはお互いの過去とか余計な詮索はしないらしいし、ここで探索を続けるならすでにあるコミュニティを無視してわざわざ喧嘩を売るような真似をするメリットはない。それどころか交代で見張れば気温の安定した場所で寝られるメリットはこれからの時期かなり大きい。
「あとはうちのダンジョンに出入りするのはあまり良く思われませんから」
「えっ、そうなんですか?」
「資格を取ってGランクダンジョンを探索する方が実入りがいいですし、ケガをすることはありますけどよほどのことが無ければHランクと同じでGランクで死ぬようなことはないですから。わざわざHランクダンジョンを使うということは資格が取れないようなホームレスとか訳ありの人だって言ってるようなものです。そんな人が自分が住んでる町をウロウロしてるなんて嫌でしょう?」
「そう言われるとそうですね」
実際自分も訳ありなわけだし、なにも反論ができない。
「だから大抵はちゃんと資格を取ってGランクダンジョンに行くんです。」
「なるほど」
有用なことが聞けたのでお礼を言い、今後のことを考えつつダンジョンに入った。
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