第7話

ダンジョンを出ると近くのスーパーで弁当とおにぎり、サンドイッチを買って川沿いの橋の下にやってきた。全部に割引シールの付いていたおかげで夕飯と明日の朝昼分に加えてペットボトルの飲み物も買うことができた。


夕飯に弁当を食べて堅いコンクリートの上で横になった。


「野宿で凍死するような季節じゃなかったのが救いだな。でも早く何とかしないと。今日はそこまで熱くないし、風もあるからいいけど、これからどんどん熱くなるし本格的な夏になれば熱中症で死ぬかもしれないな。早く生活環境を整えないとな」


ダンジョンの受付にあったカレンダーを見たところ俺がこちらに来る前を同じで今は5月の終わり。もうすぐ梅雨に入り、ひと月もせずに気温はどんどん上がっていく。


明日もなるべく早くからダンジョンに入るために俺は早々に眠りについた。





「おっ、6個目」


日の出と共に目が覚めるとすぐにサンドイッチで朝食を済ませ、近くの公園に設置されてる水道で水分を取るとダンジョンに向かった。


昨日は飲まず食わずで最後はヘロヘロだったが、今日はペットボトルに水を入れてきてるし、昼食の用意もある。


昨日と同様に今日もなるべく長くダンジョンで稼ぐつもりだ。幸いにも昨日と同じナイフを借りることができた。


「ふぅ、それにしてもダンジョンの中だと時間経過が分からないな。100円ショップで腕時計でも買うか?でも他にも必要な物もあるよな。ビニール袋の手提げじゃなくて両手が開くようにリュックにしたいし。魔石とそれ以外のドロップを分けてしまう袋も欲しい。う~ん、必要なものを一度ちゃんとリストアップして優先順位を考えておかないとな」


魔石に素材鑑定を掛けてからポケットに仕舞うとさらに奥へと進む。素材鑑定は1回発動するごとにMPを1消費しているが感覚的に10分毎に1回復し、スライムも10分に1匹くらいのペースで見つけているので消費と回復がほぼ釣り合っている。


道中迷わないよう気を付けながら進み、空腹感を感じる頃には25個の魔石が集まっていた。


「そろそろ昼飯にするか」


通路の端によって腰を下ろすとビニール袋からおにぎりと水を取り出す。


「おっとその前に……」


取り出したものを一度袋の上に置き、昨日寝る前に考えていたことを実験するため魔石を2つ取り出した。


「どうせ休憩するなら先にMPを消費しておいた方がいいからな。『継承』」


片方の魔石を素材、もう片方を継承先と意識して『継承』スキルを発動する。


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継承可能項目

・水属性(微弱)

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「やっぱり水属性だよな……。一応反対も確認してっと。」


スキル発動をキャンセルして素材と継承先を入れ替えてもう一度スキルを発動しても継承できるのが水属性(微弱)なのに変わりはなかった。


「よし、それじゃあ水属性(微弱)を継承!」


そう宣言すると素材に指定した魔石が砕け、モンスターが消える時のような黒い霧になって継承先の魔石に吸い込まれていった。


「見た目の変化は特に無しか。継承内容に変化は?」


魔石をもう一つ取り出して、一度継承したものを素材として『継承』スキルを発動する。


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継承可能項目

・水属性(微弱)

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「表示に変わり無しか。これは無意味なのか表示されないだけで内部的には属性が強化されてるのかわからないな。もう少し試してみるか」


ステータスを確認すると今回の継承でMPが3減っていた。


「とりあえずあと4回試せるな。コレで何にもならなかった今日の収入激減だな」


ため息を付きながら一度継承済みの魔石を継承先に指定して4つの魔石から水属性(微弱)を継承した。


「う~ん、並べて見比べると薄っすら青みがかってきてるきがするんだよな……」


強い光源があるわけではないが光に透かすように並べて持ってみると継承した方は限りなく黒に近い濃紺色になったように見える。


とりあえず結果は保留として魔石が混ざらないように分けて仕舞うと魔力回復の休憩も兼ねて昼食を取ることにした。

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