第8話
昼食を食べ終えると探索を再開する。
行き止まりまできたら戻って別の道を進む。休憩も挟みながらそうして隅から隅まで1階層を回り切って昨日見つけた2階層への階段まで来ると昨日と同じくらい魔石が溜まっていた。
「とりあえず今日はここまでだな」
時計が無いのでわからないが感覚的には時間ももう夕方くらいで、これから出口に向かえば買取の手続きをしてスーパーに向かうのにちょうどいい頃合いのはずだ。
「2階層に降りればもう少し買取金額が上がるかもしれないけど危険が少ないとはいえまだ2日目だしな。スキルの確認のためにももう2~3日は1階層巡りだな」
2階層への階段を横目に早く収入を上げたいと逸る気持ちを抑えるため、自分に言い聞かせるように言葉にする。
「帰る前に昼の続きをやっておくか」
荷物から水属性(微弱)を5回継承した魔石と素材にする魔石を取り出すと昼と同様に水属性(微弱)を継承していく。
「これで9回目っと……っ!」
9回目の継承を発動した時、明らかにこれまでと違った反応になった。
継承先にしていた魔石がぼんやりと光ると見比べなくてもわかるほど魔石の色が紺色に変わっていく。
「これなら水属性の魔石だと認められるか?『素材鑑定』」
魔石を素材鑑定してみるが内容は変わらない。
「それなら『継承』」
色が変わった魔石を素材として『継承』を発動する。
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継承可能項目
・水属性(弱)
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「微弱が弱になっただけか。とりあえず買取に出してみるか」
水属性(弱)の魔石は別にして仕舞い、出口に向かって歩き始めた。
途中のスライムも倒しながら1時間ほどで出口まで来るとすぐに買取カウンターに向かう。
「お疲れ様です。買取でしょうか?」
「はい、これをお願いします」
そう言ってビニール袋ごとトレイにドロップ品を乗せる。
「あとこれなんですけど水属性の魔石で合ってますか?」
ポケットから分けておいた水属性(弱)の魔石を取り出してトレイに乗せるとカウンターの女性がわずかに目を見開いた。
「この色合いは属性強度は弱いですが間違いなく水属性の魔石です!これはどこでドロップしたんですか?」
「えっと、1階層のスライムからです」
興奮気味な女性の反応にこれを出したのは失敗だったかと後悔して思わず嘘をついた。
「スライムをひたすら倒してたら1つだけこれが」
そういうと女性がわずかに眉をひそめた。
「スライムからですか?そもそもHランクダンジョンから属性魔石がドロップしなことなんてないのに1階層のスライムからなんて……」
ブツブツと声が小さくなっていき後半はよく聞き取れなかったが反応からするとここでドロップしたことがない魔石だったみたいだ。
「すいません。それでこの魔石は買い取ってもらえるんですか?」
「えっ、あぁ、はい!大丈夫です。査定するので少々お待ちください」
そういって女性が隣の機械に水属性の魔石を入れて操作すると続けてビニール袋の中身をトレイに広げ、魔石とスライムグミを確認するとそれも順番に機械に通していく。最後に機械からレシートのような紙が出てきた。
「査定の結果先ほどの魔石は間違いなく属性強度 弱の水属性魔石でした。こちらは魔石の大きさ、属性、属性強度から査定額は1000円となりました。残りの魔石、スライムグミと合わせて3020円となります。税を引きまして、お渡しは2567円になりますがよろしいですか?」
「はい、お願いします」
お金を受けとってロビーの時計を見ると昨日よりも1時間早く出てきてしまっていた。
「う~ん、スーパーに言ってもまだ割引シール貼られてなさそうだし、やっぱり100円ショップで時計だけでも買っておくか」
空いた時間に何をするか決めるとロビーを出て、駅近の100円ショップがあるはずの場所へ向かった。
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書き溜め分を公開し終わりましたので以降は不定期更新となります。
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