第40話 最終決戦2
「はあはあ、これは?」
後ろを振り向くと、女性のように見える悪魔?がこっちを見ていた。
(なんだ・・! 味方?? でか髪がすご!)
腰まである髪で顔は完全に覆われており、背中には巨大な翼が見える。
(ふわふわと浮いてる。 敵ではないのか?)
「おいおい、”リリス” まさか人間の見方をするのか?」
ヤツは両腕を再生させ、俺の後ろにいる悪魔に語り掛けた。
≪チカラヲカス・・・≫
脳に直接語りかけられたような奇妙な感覚に、すぐ後ろのリリスと呼ばれた
悪魔のせいだと理解した。
「いいね。 ありがと。 じゃあこいつを倒すの手伝って。」
(こいつ倒せるなら、天使も悪魔も関係ねえ!)
「・・・リリス!」
呼びかけに翼を大きくはためかせた。
―― 固有霊術 “瞬転” ――
翼のはためきで鎌鼬のようにヤツの身体を切り裂いた。
―― 憑依転霊 天墜 ――
「はああああああああ!!」
ヤツの頭上から思いっきり体重をかけて剣をふりおとす。
―― 憑依転霊 蛇天震 ――
ふりおとした剣を下から顎めがけて振り上げる。
―― 固有霊術 “瞬転” ――
後方にいたリリスは大きな口を開けると、大きな衝撃が起こり、ヤツは大きく後ろに吹き飛んでいった。
「すご・・・ 海底が見えちゃってるよ。」
「貴様がいつまでもつかな? ”両方”の力を行使すると飲まれるぞ。」
吹っ飛んでいったはずが、俺の頭上に浮いてこっちを見ていた。
ヤツはㇰっと首を上げると、重力が変わったかのように地面に押し付けられた。
「いっつつ・・・! リリス!」
リリスはヤツにとびかかると、効果は切れた。
「挟み撃ち行くよ。よっ!」
身体の中にある力を千切れた肩に集中させると、赤黒く腕が生えた。
(うまくいかないか。 長さも左と右で違うし。)
「ま、いっか。 おらあああああ!」
ヤツと組みあっていたリリスとチェンジし、生成した左腕で思いっきり顔面を殴った。
「人間を辞めのるか?」
「お前を祓えればなんでもいいさ! 今はこっちが優勢だしな。 このまま行くさ」
「さっきよりすっかりとおしゃべりになっているな!」
―― 邪神霊術 “プレス” ――
「あぶなっ!! それはくらわあああああ」
顔面を狙った攻撃はかわしたが、左足は潰れた。
(くそ・・・切り落として生やすか。)
「ふんっ!」
潰れた部分の足を切り落として、腕と同様に赤黒い脚を生成した。
「もはや悪魔だな。 さて、リリスを退場させよう。」
身体を起こし、様子をうかがった。
「貴様も見覚えあるだろう。」
前方5メートルほど先に黒い霧のようなものがかかり、狼の胴体に羽、ワシの頭をした姿をした生き物に形づいた。
「獣悪魔・・・!」 あの夜相手をした悪魔が現れた。
「リリス。こいつよろしく。」
≪マカサレタ・・・≫
―― 憑依転霊 翼閃 ――
―― 邪神霊術 堕血 ――
繰り出した斬撃と真っ赤な斬撃が衝突し、大きな音が耳をつんざく。
「力を使いすぎると奴らに飲まれると、習わなかったのか人間よ!
もはや貴様は人間の姿には見えまい! 性格もあのクソ天使に似てきたな。」
鍔迫り合いになり、剣に写った自分の目は悪魔のように真っ赤に充血しているのが見えた。
「確かに、右腕はもう変えちゃったし、悪魔を呼び出したしで、
もうめちゃくちゃだ! でもな、お前を殺すこの意思は、オレのもんだ!」
―― どぼっ ――
ハイキックがヤツの顔面を捉え、よろけた。
「ギヤアアアアアアアア!!!」
ドンと目の前にさっきの獣悪魔が落ちてきた。
「やはり、リリスの相手は荷が重かったか。 人間もどきがさっさと喰われろ!」
「・・・勝ってから言えよ!!!」
≪マカセロ・・・≫
突然リリスが間に入り、ヤツに抱き着くような形になった。
「くそがああ! ハナレロ! ゴミがああああ!!!」
「ごめん。感謝する。」
―― ドンっっ ――
突進し、リリス越しに剣を突き立てた。
「くそ・・・! リリスの力か! 力が奪われる・・・!」
≪ハヤク・・・≫
(これで決める・・・!)
―― 固有霊術 “邪視” ――
「・・・消えろおおおおおおおおおお!!!!!」
突き立てた剣を下へ振りぬくと、ゆっくりとリリスとともにヤツは地面に倒れた。
「はあはあ、やったよ。。。 マサト・・・」
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