第24話 VSモロク2
視界がぐにゃっとして、さっきまでいた森の風景から周りが悪魔に囲まれた。
(これは、さっきの毒を少し吸ってしまったのか。)
目をぎゅっと瞑って、力をためると身体のだるさが抜けるように感じた。
前回の毒で少し抗体ができたのかもしれない。
「おーーーい! まだ行ける!?」
なぎささんの声を目を開けると、視界はもとに戻っており、空中で一人戦っていた。
「動けるなら、作戦継続! こっちで敵をひきつけるわ!」
戦況の全体を見ながら、戦闘・指示ができる。 すごい人だと改めて思わされる。
「行けます!!」「・・・行けます。」
僕とエルが同時に返事をし、攻撃を仕掛ける。
―― 固有霊術 “邪視” ―― ―― 固有霊術 ”水龍” ――
レイが発動した魔法陣から水流が矢の形を模し、悪魔の身体を貫通する。
―― バンッ!! ――
悪魔の頭部の一部が内側から破裂するが、致命傷にはならなかった。
(くそ! 威力がなさすぎる・・・! まだこの技は不完全なのか・・・)
「休んでる暇はないよ。 来るわよ!」
悪魔から周囲全方向に無数の蛇が迫ってくるのを剣で捌きながら、躱していく。
―― ザンっ!! ――
突然、何匹もの蛇が目の前で、ぽとりと首から先が落ちた。
(なぎささんか。 よしチャンスだ!)
―― 固有霊術 “瞬転” ――
悪魔の前に飛び出し、身体を捻って力を溜める。
「はあああああああああああ!」
―― 憑依転霊 翼閃 ――
「調子乗んなガキが!」 「があああっ」
相打ちのようになり、蛇に鎖骨を噛みつかれたが、斬撃で首を切り落とした。
「エル!」
なぎささんに服を引っ張られ、後ろに後退させられた後すぐに、
レイが起こした水流が悪魔に強力な衝撃を与えた。
「大丈夫? まだ終わってないわよ。」
「はい、行けます!!」
なぎささんに背中をポンポンとたたかれ、心拍数を下げることに集中する。
「もう迷ってないようね。」
「はい! 今はまずこいつを祓うこと、
今僕にできることを全力でやり遂げます! 今ここで動かなかったら、
後でこのちっぽけな悩みよりもずっとずっと後悔すると思う!」
「ふふ。 そうね、頑張りましょ。」
「エルがもうヘロヘロっぽいですね、 まあ僕もそうですけど。」
術を行使しすぎたかもしれない。 身体に力が入らなくなってきた。
「僕とエルで道を作ります。 すみませんが、決めてもらっていいですか?」
「いいわ。 最後踏ん張るわよ!」
「エル! 頼む!!」
「了解・・・。」
―― 固有霊術 ”水龍” ――
エルが起こした巨大な水流が蛇を押しとどめる間に
悪魔の前まで進み、剣を振り下ろす。
「がああああああああああああああ!」
白刃取りの形が悪魔本体の腕に防がれた。
「なぎささん!!」
僕の後ろから槍がすっと現れて、悪魔の体に突き刺さった。
―― 武器変換 ”棘花輪” ――
悪魔の身体の内側から棘が生えて、悪魔が断末魔を上げる。
(これが渚さんの本気、すごい威力だ。 一撃で・・・)
剣を抑えていた腕には圧はなくなり、本体から灰になって消えて行った。
「お前ら人間はクズだ、我らの餌になることしか役に立たない。
・・・私はまたもどってくるぞ。」
(はあ、ようやく終わったのか・・・)
「お疲れさま。よくやったわね。」
なぎささんに肩をポンと叩かれ、終わったんだと安心した。
「休憩したら、この島のこと調べるんでしょ。」
「はい、この島を開放してあげたいです。」
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