第23話 VSモロク
視線の先には戦闘が続いている。
術が発動できず、自分が足手まといになっているのは容易に想像できた。
「いつまで落ち込んでるの? まずは今自分が持っている仕事をやり遂げなさい。
今ここで戦わないと。 その先にある命を到底守れないわよ。」
イヤホン越しのなぎささんの声が僕を導く。
「・・・はい、 僕には驕りがありました。」
(神なんかじゃない。 今僕にできることを)
―― 固有霊術 “瞬転” ――
―― 憑依転霊 ――
「はああああ!!」
一瞬で悪魔の左側に飛び出し、右腕を切り落とした。
(あの距離で躱された!? 胴体を真っ二つにしたと思ったのに)
「あんたのその能力厄介ね!」
悪魔はなぎささんたち2人を相手していた蛇の一部をこちらによこしてきた。
攻撃を剣でいなすが、その間に腕を再生されてしまった。
(こいつ、普通の悪魔じゃない・・・! 再生能力がすごい)
「よくもやってくれたわね」
悪魔がそう言うと、白色の蛇が緑と赤に変色していく。
「レイ!!」
なぎささんの呼びかけで彼女は身を翻したが、蛇の攻撃をかすめたようだ。
(一段と攻撃が早くなったな。)
「カバーします!!」
僕はレイの前に立って、攻撃を防いだ。
「大丈夫? 立てる??」
「うん・・・」
返事は聞こえたが、ふらふらしている。
「おい!!!」
後ろから持っていた剣でレイが僕に対していきなり切りかかってきた。
俯きかけで目は虚ろになっていた。
「なぎささん! レイが!」
「あの子はもう、私の子の毒にかかって幻を見てるわね」
(幻? どうりでこっちを攻撃したわけか!)
「レイは大丈夫よ! 私が蛇を引き付ける。 あなたたち2人で本体を攻撃して!」
「大丈夫って!?」
僕の後ろで彼女は俯いて動かなくなっており、なぎささんの大丈夫という意味が分からなった。
(なぎささんの言葉を信じていいのか・・・?)
「・・・もう大丈夫。」
背後から声がすると、強力な力を感じた。
―― 固有霊術 水龍” ――
頭の上に魔導陣が浮かび上がり、そこから水が巨大な腕を模して悪魔に向かって流れ込んだ。
「すごい!! これが君の力・・・!?」
「・・・邪魔だから離れてて。 自分のことは自分で守れるもの。」
「そうか、ごめん・・・!」
(すごいな。 あんな強力な力を扱えるのか。負けられない!)
―― 憑依転霊 翼閃 ――
蛇の攻撃を躱して、力を込めて剣を一閃させると、
斬撃が悪魔の足を切り落とした。
「このまま一気に行くわよ!!」
なぎささんの掛け声に総攻撃を仕掛けようとしたところで、
ボンっという音ともに、悪魔の周囲にピンクの霧が森を包み込んだ。
(まさか、毒か!)
「任せて!」
足元が浮くくらいの強力な風が立ち起こり、霧を晴らした。
おそらく渚さんの術がであろう巨大な槍で周囲の空気を一瞬で入れ替えたようだ。
目を開けると、さっきまで悪魔がいた場所には巨大なラフレシアが地面に根を張り、
花の真ん中に悪魔が収まっていた。
「調子に乗るなよ、あんたら殺す・・・!」
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