第21話 島の秘密

「なんでこんなところに退魔師が3人もおるんね!!!」

初対面でかんかんに怒っているこの男は、ヤマトさんであるが

島民から聞いた話から作られた僕のイメージとは異なり、小太りで背が小さかった。

(勝手に美化してしまってた、ごめんなさい。)


「こっちが依頼してたのは私の護衛一人なんね! お前らこの島でこそこそ嗅ぎまわらんでほしいんね!」

「あら? でも私たちが悪魔を退治して被害を最小限に抑えたのよ。 まずは感謝の言葉が先じゃないの?」

その言葉に彼は苦虫を噛んだような表情を浮かべた。


「・・・そこは感謝する! ただ、お前たちはすぐに帰ってほしいんね!

この場所はおじいさま、お父さまと代々受け継いできた大切な島だ。 

お前たちは争いを呼ぶ! だから必要なのは有事の時だけだ! その見返りにお前たちにはひいきにしているんね!」

話している熱量が高い。 確かに僕たちが戦闘をもたらすのはあながち間違ってはいない。島民の人たちから信頼されているのもうなづける。

「・・・わかったわ。 明日朝に私たちはここを発つわ。邪魔したわね。」

「さあ! 出て行ってくれ!」



「本当に出て行きます?」

「いや。 ところであなた、能力で彼の部屋に忍び込める?」 

僕は行けますと答えると、なぎささんはレイにヤマトさんの就寝時間を聞き出させ、

その時まで城の傍で待機した。



「入りました。 開けますのでどうぞ。」

僕は能力を使って、城の中へ侵入に成功した。

そしてレイと連携して城の一部の防犯ロックを解除して、渚さんを招き入れた。

「ここになにかないか調べてみましょ。」


私室の机、本棚にある大量の資料を確認し、この島のこと・先日の子供が行方不明になった事件の詳細を確認した。


―――― ブーブー ――――

島を出て本国に戻ったソラ君から着信が入ったので電話に出ると、情報が手に入ったようだった。

「先日の行方不明になった子供の両親は事件の後すぐに島を出て行ったそうです。

行方を探していますが、まだ確認できていません。

どうやら島のしきたりがあって、それによると、島を出て行ったものは、”島内で見聞きしたことを漏らしてはならない”ということがあるようです。

今回は事故で処理されたとのことですが、情報操作されてるのが怪しいです。

ご家族の方に会って、こちらでもう少し情報を集めます。」

「うん、ありがとう。 気を付けてね。」


ソラ君との電話の内容を伝えると、なぎささんはそう。とだけ答えて調べ物をつづけたが、彼の机の中を一通りで調べても、特に怪しいものはなかった。


本棚に入っている大量の本を調査していると、一冊だけ真っ黒無地の背表紙の本が目についた。

「・・・なぎささん! これ!」

彼女に僕が気になった文章を読み上げてページを見せた。

「あなた・・・これ読めるの??」

「あ・・・ ほんとだ。」

確かにこの文字を目にしたことはなかったが、なぜか頭の中にここに書かれていることが流れた。

(なんでだ・・・なぜ読めるんだ・・・)


―――― ブーブー ――――

なぎささんのケータイが震え、彼女は電話に出た。

「レイ? 何かあったの?」

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