第20話 なぎさお姉さんの実力
「これ着替える必要あったんですか?」
この島で購入した、島民らとそん色ない夏の格好に着替えた。
「もちろん! 表向きはエルが護衛についてるから、教団の連中が複数いると怪しまれるからね。 尻尾を出さないかも。」
「それはそうですね。 まじめな話してるとこ悪いですが、目のやり場に少し困ります・・・」
「あら、でもお姉さんのナイスバディについつい見ちゃうのは仕方ないわね!」
彼女は立ち止まってポーズを決めた。
シャツにハーフパンツという格好につい隣を歩くのに恥ずかしくなってしまう。
「冗談はおいといて、忍の彼には子どもの事故現場を調査してもらってるし、
私たちは島民の方々に管理人の評判とかを聞きに行きましょ。」
僕たちはアーケード街に寄り、店先にいた店主に話を聞いて回った後、喫茶店に立ち寄った。
「管理人の”ヤマト”さん、いい評判しか聞かないですね。」
「そうね。不自然なくらいね。 お会いしたことないけど、エピソード聞く分にはいい印象しか持たなかったわね。」
鉱山の管理人としてだけでなく、この島の役職者である”ヤマト”さんは島民から絶大な信用を得ているようだった。
「先祖代々しっかりとされてるようですごいですね。
正直、なぎささんがそこまで疑っているのが不思議です。」
「うーん、まあ私の取り越し苦労だといいんだけど。 人間そんなにいい人だらけじゃないからね。 いい噂を聞けば聞くほどってね。」
「そうですか、逆にのパターンですね。」
「まあ私のような大人にはならないようにね。 信じ切れることできることが一番なのよ。」
ポンと肩をたたいてなぎささんは席を立った。
「あと、”渚お姉さん”だからね。」
「はい、すみません・・・」
----夜 ホテルの部屋----
「・・・了解。 そのまま護衛の任についてて。 大変だけどよろしく頼むわね。」
「エルは大丈夫そうですか?」
「そうね。 今のところ不審な動きもないし。 続けて見てもらうわ。 忍くんの連絡ももらったし、」
会話の途中、外が騒がしくなってきたので窓から外を覗いた。
「行くわよ。」
なぎささんと一緒に武装をして外に出た。
外に出ると恐竜に似た姿をした大きな悪魔が島民を襲っていた。
(信じられない。 あの悪魔、ただ欲望のまま人間を喰っているみたいだ。)
「僕がひきつけます。」
飛び上がり、意識を集中するため目を閉じる。
―― 固有霊術 “瞬転” ――
バッと悪魔の目の前に一瞬で移動し、そのまま剣を目に突き立てた。
「すごいわね! 後は任せて!!」
彼女が悪魔の背後から飛び上がり、槍を構えた瞬間、槍は自分の身体より巨大になり、そのまま悪魔の頭に突き立てた。
ズズウーーーーンと悪魔はそのまま白目をむき倒れ込んだ。
(さすが、一撃だ。)
「ナイス連携。あたしたちいいコンビになれそうね!」
なぎささんはハイタッチを求めてきて僕はそれに応じた。
午前中にセクシーポーズを決めて、ふざけていた人とは同じとは思えない動きだった。
「ねえ、あの瞬間移動はどうやったの?」
「ああ、あれは固有霊術です。 ただ、まだ練習中で、近距離でしか使えないです。」
「へえ、知らなかった。 レベルアップしているようね、いいことよ。」
前回のアバドンとの戦闘で自分のレベルアップが必要だと感じた。 入院中でも肉体を行使しないトレーニングなら問題ないので、不幸中の幸いか、霊術をより扱えるように鍛える時間になった。
(もっと自由に力を扱えるようになろう。 強くならないと。)
「そこの2人!! 会長のところまで同行してもらう!」
スーツを着た成人男性二人組が、こちらを向かって呼びかけてきた。
「そうだ!」
隣では、なぎささんがジェスチャーで自分たちを指さしていた。
「会長ってヤマトさんのことですかね?」
「おそらくね。 ここはおとなしく従いましょ。」
僕たちは武器を回収され、徒歩で島の奥にある城に案内された。
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