第14話 最悪のコンビ

―――― ドンッ ――――

ビル内に銃声が響いた後、正面にいた悪魔の眉間に穴が開いていた。

(ソラ君、また勝手に・・・!)

眉間に空いた穴から黒いぶよぶよした塊が四方八方に散っていった。


「・・・私に任せてください。」

彼は背中に背負っていたリュックから、文字がたくさん書かれた球体を取り出して

手に乗せると、その球体はひとりでに回転した。

「これで今散っていった悪魔の居場所を特定します。」

「いいね! じゃあソラ君はここで僕に指示を出して。 僕が追う。」

「私も行きます。」

「だめ、ソラ君は悪魔がどこにいるかの指示を出してほしい。 

 少しは僕を信用にて。」

「・・・わかりました。」

若干納得のいってない表情をしているが、どうやら受け入れたようだ。



「まずは2つ上の階の6Fです。」

2段飛ばしで階段をダッシュで駆け上がると、悪魔の姿を確認した。

「了解、発見した!」

廊下の先には少女の悪魔が立っていた。

目が合うと、何もない空間から本が出現し、少女の手の動きに合わせてこちらに向かって飛んできた。


「ごめん。」

僕は攻撃を躱し、すれ違いざまに首を切りつけると、切り口から黒い塊が空中へ散っていった。

「次は!?」

「1上の階、2体反応があります。」

一対一で相手する分には手ごわくないが数が多い。

 

ただ、異変に気付いたのは4体倒した後だった。

「様子がおかしいです。 反応してる数が減っていないです。」

その言葉にすぐにピンときた。

「反応がある全体の数は変わらずに、悪魔の反応の場所だけ移動してるのか。」

「はい、イチさんが向かった場所から移動しています。」

(手ごたえがなかったのはそういう理由か。  となると核となる本体がどこかにいるのか?)

指示のあった11Fの部屋に入り、少女の悪魔と目が合うと今回はすぐに姿を消した。


「しまった!こっちに・・・!」 イヤホン越しに彼の慌てた声が聞こえた。

「ソラ君!? 大丈夫!?」

(返事がない。急いで戻らないと!)


4Fに降りると彼が廊下で倒れていた。

「大丈夫!?」 駆け寄って声をかけると、体を起こし大事には至ってないことを確認できた。

「ちょっと油断してました。 それより何とかしないと。」

「うん、このままバラバラに1体ずつ攻撃しても意味がない。」

「さっき私を襲ってきたときに、複数に散らばっていた反応が1つにまとまりました。」

さっき急に姿を消したのは1つに集まるためか。


「となると、攻撃するタイミングは1つか。」

「はい、僕がおとりになります。」

「またそんな無茶を・・・!」

「やつは悪魔祓いと戦うのを避けていると思います。さっきもあなたが来てから攻撃を止めました。」


彼はリュックから小瓶を取り出し、香水のように体に振りかけた。

「人間の血の匂いを凝縮した香りです。 やつが僕を喰うように仕向けます。」

彼はまっすぐ僕の目を見つめて言った。 この時初めて彼と目が合った気がした。

「・・・わかった。 君を信じる。 だからソラ君も僕を信じて、必ず仕留める。」

「頼みます。」


僕と彼と別行動をとり、まず屋上へ上がると1体の少女の悪魔が待っていた。

「あんたたち全然だめね。 相方は今、血を流して逃げ回ってるよ。」

「そうだね、でもまだわからないよ。 それに彼は弱くない。

人間の弱みに付け込んで、人殺しの手伝いをさせる卑劣なお前たち悪魔には

もういい加減反吐が出る。 ここで消えてもらう。」

「・・・うるさいわね、人間は黙って餌になればいいのよ。」

ドロッと体が崩れ。空中で飛んで闇に消えた。

「イチさんッ!!!!」

(来たっ・・・!!!)

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