第13話 戦闘開始!!!!
―――― 夜 ――――
「行きましょう。」
僕らは仮眠から目覚め、車を出てビルの中へと入っていった。
1Fから順に見ていき、屋上にたどり着いたが、ここまでなにも異変を感じなかった。
「とりあえず先に私は降りて、本部へ電話してきます。」
そう言うと彼はそそくさと下へ降りて行った、
(彼はこわくないのかな。 肝が据わってて任務ではとても頼りになるなあ。)
「イチさん。聞こえますか?」
イヤホンからソラ君の連絡が入った。
「あと1時間ほど待機して、異常なければ明日また続行しろとのことです。」
「了解。 時間で区切るわけね。 じゃあソラ君は下で待機してて。
僕の方でもう一回上から見て回るよ。」
「了解しました。」
おおきく伸びをして空を見る。
(今日は満月か。 きれいだな・・・)
屋上から順に下へ降りていき、4Fの会談の踊り場に出たとき人の気配を感じた。
(さっきまではなにも感じなかった。 何か空気が変わってる。)
「助けてください・・・」
廊下に疲れ切った顔をした子供がいるくらいの年齢の女性が立っていた。
「あの、私娘が一人いて、ここによく来ていたのですが今日はまだ帰ってきて来なくて・・・」
女性はひどく疲れ切っている。声に張りがない。
「・・・わかりました。心当たりありますか?」
「はい。 こっちです。」
そう言って、彼女は廊下を進んだ先の大部屋に僕を招き入れた。
「この部屋によく娘は勝手に入って遊んでいました。 何度注意しても聞かなくて。」
彼女は椅子や机がぐちゃぐちゃに積み重なった部屋の奥へ進んでいく。
(この部屋・・・さっきまでとは全く雰囲気が違う。)
「・・・娘さんはいつ亡くなられましたか?」
「え・・・? 何てこと言うんですかあなた? 早くこっちに来て探してください。」
「いや。 もうこの世に娘さんはいないんですよね?」
僕は内ポケットに入れていた呪符を取り出し、部屋の壁に投げつけると
呪符は空中で止まり、直後にごうんと音を立てて壁が大きく胎動した。
(来る・・・! 集中しろ。)
腰下げていた剣を抜き、戦闘態勢をとった。
「お願い! やめて!! 娘を殺さないで!!!」
突如女性が僕の腰にしがみつき、涙を浮かべて懇願する。
「危険です! お母さん、離れてください!!」
掴まれた手をはがそうとするが、ガチっとつかんで離れない。
引きはがそうとしているところで、部屋の奥におそらくこの女性の娘さんだったのであろう小学生低学年くらいの女の子がこっちをにらむように立っていたのに気づいた。
(まさか自分の子どもをとどめておくために、人間を呼んで餌にしているのか・・・!?)
「あなたまさか・・・! 自分のしたことがわかっているんですか!?」
彼女は泣きながらそれでも服を掴んで離さない。
「あーあ。 ママ、退魔師を連れてくるなって言ったでしょ。」
奥にいた女の子は一切表情を変えずにこちらに語り掛ける。
「ごめんなさい! すぐに帰っでもらうから! 怒らないで!!!」
女性は半ばパニック状態で僕の身体を押し出そうとする。
「ほんとに危ないですから! 離れて!」
「いいから出ていきなさいよ!!!! もおおおお!!!!」
女性の強い力にゆっくりと徐々に廊下まで押し出されてしまった。
(まずい・・・ 悪魔に気を取られて。)
―――― ガンッ ――――
突然、正面からの強い衝撃に2人とも廊下から吹き飛ばされ、
窓から空中へと身を投げ出された。
(まずは、彼女を助けないと・・・!)
空中で彼女を抱えるようにして、4Fから地上へ背中からドシンと落ちた。
「大丈夫ですか!?」
ソラ君が慌ててこちらに駆け寄ってきた。
「うん、とりあえずは。 まずは彼女をお願い。気を失ってるだけだから。」
僕は女性を預けようとしたが、彼は4Fを見るとすぐにビルの中へ走っていた。
「あっ! ちょっと!」
(なんで! まさか一人で行ったのか??)
急いで彼女を車の中へ運び、後を追いかけた。
「今どこ!? 4F!?」
何度も呼びかけるが返事がない。 4Fに上がると、彼が先ほどまで僕がいた部屋で悪魔と戦闘をしていた。
(勝手に何をしてるんだ・・・危ないっ!)
彼に向かって飛んでいく長机を蹴り飛ばし、彼を強引に抱えて部屋の外へと飛び出した。
「勝手に一人で飛び込むなんて危険すぎる!!」
「失礼ですが、私はあなた一人ではこの悪魔を祓えないと判断しました。 私も先頭に参加します。悪魔祓いではないため、完全に祓うことは不可能ですが援護できます。」
「だとしても協力しないと。バラバラに戦ってちゃ勝てない!」
「悪魔を祓えれば問題ありません。」
「もちろんそれはそうだよ! でもこのまま連携をとれずに戦っても勝てるものも勝てないよ!」
いがみ合っている中、ガシャガシャと少女の悪魔が部屋にあった机・椅子を吹き飛ばしながら廊下にあらわれた。
(これは、まずいな・・・)
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