8 雪だるまを作ってたら、可愛いお姉さんも混ざってきた 8

!~よたみてい書

小さな雪原での小さな出会い

 銀髪の女性が玄関前で空を見上げた。


(うわぁ、降ってる!)


 銀髪の女性は十八歳前後に見える容姿をしていて、身長は約百五十五センチメートル。前髪はおでこで切り揃えられていて、後ろ髪もうなじに綺麗に垂れている。金色の円が目の中にあり、目尻はやや垂れ下がっていた。それから、もこもこした白い衣装を着こんでいて、足は黒い長靴を履いている。そして、胸部が少しだけ盛り上がっていた。


 銀髪女性は腕を抱きながら地面に積もった雪を蹴とばすと、白い粉粒が宙を舞っていく。


(そこそこ積もってる!)


 空から小さな雪が落ちていき、大地に優しく留まっていった。


 そして、銀髪女性はその場で飛び上がり、笑みを浮かべながら白い柔軟床を踏みつける。白い床は重い音を立てながら彼女の足を飲み込んでいく。


(快感……! このグォリグォリって音も良いよね!)


 手を後ろで組みながら周囲を見渡す。


(これだけ積もってるなら、雪だるまなんて余裕で作れるんじゃない?)


 手を口に当てながら笑みを浮かべる。


(うん、雪だるま作っちゃおう!)


 その場にしゃがみ、手で周囲の白い素材を眼前に集めていく。すると、小さめの白い球体が出来上がった。


(よしっ! 準備できた!)


 銀髪女性は球体を柔らかい白い地面に転がしていく。




 金髪の女性が歩みを止めて、銀髪女性を眺めた。


(んっ、彼女もしかして?)


 金髪女性は二十歳くらいの姿をしていて、百六十センチメートル程の身長をしていた。前髪は目の上まで垂らしていて、後ろ髪を両側頭部にまとめて、長い尻尾を二つ作り上げている。目尻はやや吊り上がっていて、銀色の瞳を宿していた。それから、つやがある薄い素材の衣服で体を包み込んでいて、赤い長靴を足に装備している。そして、胸部に少し大きめの膨らみが一対あった。


 金髪女性は微笑みながら軽く手をあげて声をかけた。


「あー、お姉ちゃん、なにしてるの?」


 銀髪女性は真顔を作りながら黙り込む。


(えっ、なに?)


「もしかして、雪だるま作ってる最中? ……どうした、手が止まってるぞ」


 硬い笑みを作りながら頭を撫でる銀髪女性。


「はい。雪だるま作ってます、ははは」


 金髪女性は笑顔を作りながら両親指を立てて、前に突き出す。


「いいねいいねー! あたしも作っちゃおっかなー!」


「えっ!?」


 銀髪女性は目を見開きながらたじろぐ。


 その場にしゃがみこみ、周囲の雪を目の前にかき集める金髪女性。そして、出来上がった球体を手で転がしていく。


「お姉ちゃんも雪だるま作り続けちゃって!」


(この人、だれ?)


 銀髪女性は顔を引きつらせて、大きくなった球体を転がし続けた。




 銀髪女性と金髪女性は二つ目の球体を転がしていき、大きくさせていった。それから、球体を持ち上げて、一つ目の大きくなった球体に乗せていく。すると、道のすみに雪だるまが並ぶように二つ建てられる。


 銀髪女性は呼吸を少し乱れさせ、腰を軽く叩きながら体をらせた。


(完成ー!)


 金髪女性も二つ目の球体を笑顔で持ち上げて、一つ目の球体に乗っける。


「よーし! あたしも雪だるま完成ー!」


 金髪女性は銀髪女性に向けて手を掲げながら笑みを浮かべた。


「いえーい!」


 銀髪女性は眉尻を下げながら笑顔を作り、金髪女性の手を軽く叩く。

 

「いえーい」


 金髪女性は微笑みながら首を傾げた。


「雪だるま好きなの?」


 ゆっくり首を横に振る銀髪女性。


「いえ、そういうわけじゃないですけど」


 金髪女性は口を尖らせながら呟く。


「ふーん、そうなんだ。……ところで、お姉ちゃんいくつ?」


「十八です」


 金髪女性は目を閉じて腕を組む。そして、口の端を上げながら何度も頷いた。


「そっかそっかぁ。これからも雪だるまで遊ぶ心を忘れないようにね!」


 眉尻を下げながら頬を掻く銀髪女性。


「あー、はい」


 銀髪女性は硬い笑みを作りながら小首を傾げる。


「ところで、お姉さんはいくつですか?」


「んー?」


 金髪女性は明るい笑顔を作りながら二本指を立てる。


「八十八歳!」


(えっ?)


 銀髪女性は顔を引きつらせながら言葉を漏らす。


「……冗談ですか?」


 頭の後ろで手を組みながら笑みを浮かべる金髪女性。


「想像に任せるよー!」


(んんっ?)


 金髪女性は口から少し鋭い犬歯を覗かせながら笑みを浮かべた。


「あっ、じゃああたし満足したから、もう行くね」 


「あっ、はい」


「またねー」


 金髪女性は振り返りながら微笑む。それから、手を振りながら遠ざかっていく。


 銀髪女性も硬い笑みを作りながら小さく手を振った。


(彼女、一体何なんだったんだろ?)


 雪が周囲に出来上がった陥没を埋めようと、空から無数に降り続けていた。

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