第3話 時を戻そう

 魔王カキリア様(ょうじょ)は、少し舌足らずながらも、女の子らしく言葉が早いです。毎日俺に色々要求してきます。


 今日の朝ごはんは、魔王カキリア様(ょうじょ)が最近ハマっているので、トーストにスープ、サラダにフルーツに牛乳です。


「バター塗って。」

「はい。」

「やっぱジャム塗って。」

「はい。」


 俺は言われるがままに、魔王カキリア様(ょうじょ)からパンを受け取り、バターを塗ったパンにイチゴジャムを塗ろうとしたのだけれど。


「バターはいらないの!」

「では、これは俺が食べることにして、新しいトーストを焼きますね。」


「ボク、このパンじゃなきゃやだ!」

「時を戻さなきゃ無理ですよ!」

 ウワアアアアアアン!


 魔王カキリア様(ょうじょ)、泣いてしまいました。

 困り果てる俺。


「──時くらい戻せよ。」

 怠惰のベルフェゴールがトーストを受け取ると、時を戻して事なきを得ました。


 魔王カキリア様(ょうじょ)、さっきバターを塗ったパンからバターを消して貰って、イチゴジャムを塗ったパンをご機嫌で食べてます。


 ──なんか悔しい。

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