第4話 チートがいっぱい


 新しいスキル『神々の寵愛』を覚えて、アイテムの無限収納が実現してしまった。


「…………チート第2弾か」


 まあ、でも。


 正直、これは助かるスキルだ。

 なんたってアイテムいっぱい持てるから。

 ついでに『エンドファンタジア・ツヴァイ』(略称エンファンⅡ)プレイ時に持っていた各装備、各アイテム、各合成素材が収納されているのも僥倖だった。

 多分、想像なのだが『エンファンⅡ』 の合成アイテムもつくれるに違いない。

 

 と、いうことで。


「もしかして、全職人レベルもカンストしてるのかな?」


 早速、ウィンドウを開いて確認する。

 予想通り、8種類の全職人レベルがカンストしている。

 いや、まあ、これは当然だろう。

 自慢じゃないが廃人だったんで全職人レベルを実際カンストさせたよ?


「あれ? でも確か、今作と前作で職人の種類が違うはず?」


『エンドファンタジア』(略称エンファン)と『エンファンⅡ』の職人の違いは、


 木工            木工

 鍛冶士           鍛冶士

 骨細工士←これが違うだけ→ 甲冑士

 彫金士           彫金士

 革細工士          革細工士

 裁縫士           裁縫士

 錬金術士          錬金術士

 調理士           調理士


 ――――ま、いっか!


 細かいことは気にしない!

 なんたって『エンファン』の職人レベルには制限があり、レベル100にできるのは1つのみであとは70までというクソ仕様だったからね。

 まあ、この制限があるおかげで1つの職人を極めたプレイヤーは重宝されたのだが『エンファンⅡ』ではそんな制限はない。

 全職人レベル150(上限)!


 で、だ。


 今、気にすべきは……。


「クラスチェンジの条件か」


 クラスと言えば冒険するには欠かせない職業のこと。

 例えば今は『聖騎士』だけど、これは上位クラス。

 最初は初期クラスからスタートして条件を満たせば上位開放となるわけだ。

 でも、別に初期クラスが弱いわけではない。

 

 例えば魔法師。

 

 これの上位クラスは召喚師なのだが、魔法師はあくまで『エンファン』に存在する属性魔法を使って攻撃するクラスなので、すなわち上位クラスの召喚師と系統が違うだけなのだ。

 召喚師は『エンファン』世界における古代の神を召喚して戦わせるクラスで、まあその古代神の契約履行技が超強いのなんの。

 ただデメリットは召喚中はMPを常に消費するので燃費が悪い。

 が、しかし『エンファンⅡ』ではそんなデメリットはないのだが、デフォルメされた小さい召喚神がペチペチ戦うだけの、なんとも迫力がないのよ。

 

 話は脱線したが、つまり『エンファン』におけるクラスチェンジはホームポイント=家に戻らなければ実行不可。

 

 これはわかる。


『エンファンⅡ』だとを持ち替えるとクラスチェンジ出来る。

 

 これがよくわからん!


 でも、そういう仕様なのでどこでも任意にクラスチェンジ出来るのだ。


「んじゃ早速」


 ウィンドウを開いて聖騎士から戦士の項目を選んでクラスチェンジ!


「おお!?」


 自分の身体が光に包まれて――――


 見事、戦士にクラスチェンジした!


「……って見た目何もかわっとらんやん!」


 武器も防具もそのままで、ステータス項目だけは聖騎士から戦士へと変わっていた。

 

 おかしい。


 戦士にクラスチェンジすれば装備欄から自動的に戦士が装備する両手斧が選ばれ、防具も戦士専用の装備へと変更されるのに。

 一切合切、変更された兆しなし!


「考えてみたらクラスチェンジしたところでであることは変わらないし、別に物理的に手に持てれば何でもできるよね、ふつう」


 つまりこれは、


 ゲームシステムに縛られていないってことになる?


 ちなみに戦士専用のスキルで代表的なのはこの2種類。

『バーサーカー』効果 自身の攻撃力+50% 防御力-25%

『魂の叫び』効果 自身の攻撃力+50% パーティーメンバーの攻撃力+15%


『エンファン』と『エンファン2』のスキルが混ざり合っている感じがするが、それにしてもバフの上昇率がエグい。

 他のぶっ壊れスキルと併用すれば瞬間火力がクソインフレを起こすぞこれ。


「あれ? なんだこの横の空欄?」


 ステータスウィドウで現クラスの隣にある空欄を選択してみると『サブクラスを選択して下さい』という表示。


「あ! これサブクラス設定するやつか!」


 思い出した。

『エンファン』は特定のクエストを完了すると、サブクラスを設定できる。

 サブクラスを設定すると、メインクラスのレベル半分までの能力が付与され、クラス特有の魔法やスキルが使えるのだ。


 例えば、メインを戦士にしてサブを魔法師すれば、なんと戦士のくせに魔法も使える!!


 ただし、これにはデメリットがあり、メインクラスの半分の能力ということなので威力は期待できない。

 同じ強さの相手でもサブクラスのレベルは低いので、レベル差やステータス補正でダメージはほとんど見込めない。


 ただ、これを状況に合わせたサブクラスを選択すれば相当な強さになり、ここがプレイヤースキルの求められるところだろう。


 とはいえ制限もあり、クラス固有のスキルに該当するスキルは発動しない。


 例えば、聖騎士専用スペシャルスキル『アイゼンヴィレ』は30秒間無敵という超絶スキルなので、当然つかえな……………


 あれ? アクティブスキル欄にあるぞ?


 え? なんで?


 嫌な予感がしたので、またまた固有スキル欄を確認してみる。


『神々の賛美』

 クラス変更において時間や場所を選ばず、サブクラスのスキル制限もない。


「またおまえかーーーーー!」

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