あなたといっしょに
喜びは分かち合い
悲しみはかみしめて
孤独を受け入れろ
独りきりの夜
寝そべって
泣きじゃくる君の肩
震えるから
あなたの声に
窓辺の夜景
揺れているあなたの涙は
夜の光を映し出す
悲しいよ
悲しいよ
つらかった思い出に
思い出すよ
記憶の森の
奥に澱む霧のよう
もう一度
もう一度
やり直せるの
夢は在ったのかい
夢に会えたのよ
逢えたのは
あなたと私
五月の風
六月の雨
七月の水しぶきを
八月の太陽が
九月の月明り
十月の
街路樹の色に
心を染めた
何度でも
幾たびに重なって
二人の息が
混じり合うは
溶け合って十一月の雪
大晦日の夜中に知らせが届く
帰ってこない
あなたの知らせ
あなたが
あなたが
(なぜ言わなくちゃならないの)
帰ってこないと
手紙一通
訃報が届く
年が明ければ葬儀の列が
真っ白な道の人影は
喪服の色に
雪が降る
震えていたよ
黒髪が
震えているの
睫毛の雪が
溶けてゆく
涙が溶かす
思い出を
悲しみが染み出せば
思い出せと
心が叫ぶ
二月の空
ひな祭りの夜
飾りびなの夜
独りぼっちのお雛様
内裏雛は箱の中
取り出すと
ほんのり浮かぶの
あなたはどこに
探せない尋ね人
すぐそこに春
もういないよ
春の嵐が雷の朝
山の向こう
けぶる彼方の山の色
芽吹いてゆく
風の気配に
気付かせて
耕作地
耕すのだから
思い出の中
あなたと一緒に暮らした日々を
耕して
もう一度
今一度の
あなたと逢えば
わたしは
あなたに逢いたいの
許してね
私は生きてゆくの
私が死んだら
あなたも死んでしまうから
死ねないの
生きて生きて
それでも
忘れないから
許してね
四月の桜が待っている
四月の桜が舞っている
桜吹雪の思い出を
私は一人でかみしめる
花が散ったら
旅に出る
夜行列車で旅に出る
トンネルをいくつか越えたら
そこは新しい街
初めての人
初めての朝が来る
もう一度
出会いから始めましょう
めくる暦を辿りつつ
繰り返すは
思い出が私の日々を
耕すの
あなたと一緒に
耕すの
今度こそ一緒
一緒の春を作りましょ
何度でも
何度でも
私を待ってる
あなたがいっしょ
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