どうしてホワイトチョコが苦手なの？

自然と味がよみがえってしまう

　チョコ好きなのに、ホワイトチョコだけはあまり食べない私に、子どもが聞いた。

「どうしてホワイトチョコが苦手なの？」

　ママがあなたくらい小さい頃ね。

　虫歯ができたか、食べる量が少なかったからか、おやつにお菓子は出なかったの。

「おかしじゃないおやつって？」

　やきいも、にぼし、かつおぶし、ピーナッツ、のり。

　あ、そのときは苦手だったけど、干した果物や、飲むヨーグルトもあった。

「チョコとかあんことか食べたことなかったの？」

　もちろん食べたことあったよ。

　だから、ママはチョコレートを食べたくて仕方なかったの。

　そんな時ね、お米とか、にぼしとか、のりとか、かつおぶしとか入れてる物置に、箱いっぱい入ったチョコレートがきたのよ。

「え、すごい！」

　それもね、小さいサイコロみたいな茶色いチョコとか、板チョコじゃないんだけど、トランプのカードくらいの大きさで、ひとつひとつ、おしゃれな紙で包まれていて、とっても可愛いかったの。

「なんで知ってるの？」

　はっきり覚えてないけど、最初は、家族みんなで食べた気がする。

　それがママが食べた初めてのホワイトチョコレートだった。

「おぉー。どうだった？」

　ママは「茶色いチョコの方が好きだな」って思った。

　きっと、ママのお母さんもホワイトチョコを好きじゃなかったみたいで、それからはみんなでそのチョコを食べることはなかったの。

「うん」

　でもね、最初に話した通り、ママのおやつに甘い物は出ない。

　そうするとね、もう、あんまり好きじゃなくてもあのホワイトチョコが食べたいなって思うようになってきてね。

「わかる！」

　お母さんに「物置の中のおやつ食べていい？」って聞いたら、「いいよ」って言われたから、食べるようになったの。

「それ、きっとママのお母さんは、ママはにぼしとかかつおぶしを食べてると思ってたよね？」

　たぶんね。

　ママはこっそりホワイトチョコを食べてたんだけどね。

　でもね、いつからか、ホワイトちょこじゃなくて、抹茶チョコもあるのに気づいたの。

「え？　おいしそう」

　それもね、一枚いちまい、マーブルもようっていうの？

　柄が違うの。

　だから、毎回、包みを開けるのが楽しみだった。

「おっしゃれー」

　なんだか複雑な味がするから、外国製なのかな？　って思って食べてて、あるとき、ママのお母さんにそれを話したの。

「え、話したの？」

　「ホワイトチョコだけじゃなくて違う味のチョコも入ってたよ」って。

　それならママのお母さんも食べられるかと思って。

「そっか」

　そしたらね。

　それは抹茶じゃなくて、カビてたみたいで、全部捨てられちゃった。

　あの複雑な味はかびの味だったんだぁって後からわかって。

　それからは、ホワイトチョコを食べたら、あの時の味を思い出しちゃうから、あんまり食べたくないのよ。

「……よく食べてたね」

　そのときは、どうしても甘いものが食べたかったんだろうね。