【一章完結】世界最強の鍛冶師~闘えない無能はいらないと勇者パーティを捨てられた鍛冶師、SS級の危険ダンジョン『ハーデス』で装備を鍛えて最速で最強の冒険者に成り上がる〜
第27話 冒険者ギルドでクエストを受注する
第27話 冒険者ギルドでクエストを受注する
「いらっしゃいませー! 『ミリアム』の冒険者ギルドへようこそー!」
冒険者ギルドに入ると、受付嬢の快活な声が聞こえてきた。
「……ここが冒険者ギルドですか」
メルティは目を輝かせる。メルティは生まれたばかりの赤子のような存在だ。故に目に見える光景の何もかもが新鮮に映るのだろう。
「ああ。ここが冒険者ギルドだ」
「冒険者ギルドって何をする所なんですか!?」
「主にはクエストの仲介だな。国や村からクエストの依頼を受ける。そしてそのクエストをまた冒険者に依頼する。その仲介役を果たしているんだ。勿論、それだけじゃない。冒険者の情報を登録し、共有し、冒険者パーティーの仲介役をしたりする。冒険者にとってはなくてはならない存在なんだ」
「へー……」
――と、俺達が受付嬢のところへ行こうとした時の事だった。
「てめーは……あの勇者パーティーの」
「ん? どうしたんだ?」
複数人の男達が群がってくる。ガラの悪い冒険者の連中だ。
「あの勇者パーティーのメンバーだった奴じゃねぇか!」
「な、なに! あの勇者ロベルトのパーティーのメンバーだって!」
数々の武勲を立てていた勇者ロベルトのパーティーは冒険者界隈では有名な存在だった。当然のように、そのパーティーメンバーも顔を覚えられている。勿論、俺も例外ではなかった……。
「勇者パーティーのメンバーって言っても大した奴らじゃねぇよ。ただの腰巾着だ」
「ふう……驚いたぜ。何だ」
「闘えもしねぇ……後ろでぼーっと見ているだけのただの臆病者だ」
どうやらこいつ等の思考回路と品性は勇者ロベルトと同程度のようだ。俺は深く溜息を吐く。
「ロキ様」
「なんだ?」
メルティの額がピクピクと動いている。わかりやすく怒っているようだ。
「こいつ等、燃やしちゃっていいですか?」
「ダメだ」
「ええ! なんでですか!」
「そんな事したら冒険者ギルドを出禁になるぞ」
「へっ……どうしたんだよ。鍛冶師の坊主。あまりに役に立たないもので、勇者から捨てられたか?」
「それで冒険者になろうっていうのか! へっ! 考えが甘いんだよ!」
「こ、こいつは……」
「ん? どうしたんだ!?」
「剣聖フレイア様じゃねぇか! ど、どうしてこんな冴えない鍛冶師の野郎と!」
「ロキ様のパーティーに入れて貰ったからです」
「フレイア様……そんな奴と同じパーティーに入らないで、俺達のパーティーに入ってくださいよ」
「俺達は今、CランクのパーティーでもうすぐBランクに昇格確実なんですよ」
「そんな冴えない野郎とEランクのパーティーを組むより、充実した冒険者人生が送れますぜ!」
「そうそう! あんたさえいれば俺達はАランク、いや、Sランクも夢じゃねぇ!」
男達はこぞってフレイアを引き抜こうとした。
「さっきから何を言っているんですか、この人達。CランクだのBランクだの……」
「冒険者パーティーにはランクがあるんだ。Eランク~Sランク。その上にSSとSSSもあるが。この領域に至れるのは例外中の例外だけだな。基本的にはそのランクによって、受けられるクエストの難易度が変わるんだ。実績により積み重ねられていく、評価を表すもの。それがランクだな」
「へー……」
「ふざけないでください。私はどこにも行くつもりはありません」
「……そんな事言わないでさ」
男たちはしつこく食い下がる。
「あまりしつこいと女性に嫌われますよ!」
フレイアは手を振り上げようとする。しかし、俺はフレイアの手を取った。
「行こう、フレイア。相手にしているだけ時間の無駄だ」
「ロキ様……」
俺達は受付嬢の所へ向かう。
「フレイア様! 気が変わったらお願いしますよ!」
「そうそう! あんたとそんな冴えない鍛冶師とじゃ釣り合いませんって!」
「むうっ! まだ言ってます!」
メルティは憤る。
「無視だ、無視。放っておけ」
俺達は受付嬢のカウンターまで行く。
「いらっしゃいませ! 『ミリアム』の冒険者ギルドへようこそ。今日はどんなご用件でしょうか?」
「冒険者登録と、パーティーの登録をお願いしたい……それが終わったらクエストの受注も」
「了解しました。こちらの用紙に記入をお願いします」
俺達は用紙を何枚か手渡される。
「あちらのカウンターでお書きください。ペンもそこに置いてあります。冒険者登録とパーティー登録が終わったら、クエストの説明になります」
◇
俺達は記入用のカウンターで必要事項を記入する。
「ロキ様……私、文字がわからないです」
「そうか……じゃあ俺が代わりに書いてやるよ」
「ありがとうございます」
こうして俺達は必要事項を記入し、受付嬢の所へ持っていくのであった。
◇
「はい。ありがとうございます。こちらの方で問題ありません」
こうして晴れて俺達のパーティーが結成されたのであった。
「新規のパーティー登録になりますのでロキさんのパーティーはEランクからのスタートになります。これは規則ですので、例外はありません。依頼を滞りなくクリアしていけば、昇格クエストという、特別なクエストを任される事になります。これをクリアすればDランク。そこから更に上のランクへと昇っていけるというわけです」
受付嬢は語る。既知の知識ではあるが、受付嬢にも説明責任というものがあるのだろう。懇切丁寧に説明してくれた。
冒険者とは命がかかった大変な仕事である。後から説明されなかっただの難癖を付けられればギルド側の不利益になりかねない。それを回避したいのだろうと思われる。
「それではEランクの冒険者パーティーとしてこれから頑張ってください。次にクエストの受注になりますね。とはいえ、Eランクの冒険者パーティーが受注できるクエストはこれしかありません」
「でしたらそれをお願いします。ちなみにどんなクエストですか」
「スライム退治です」
受付嬢は笑顔で言った。
定番と言えば定番だった。
報酬は100G。
出没地帯は『ミリアム』から南に行ったところにある平原地帯の湖だ。
こうして俺達は初クエストとして、スライム退治に出かけるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます