第15話  伝説の素材ヒヒイロカネ

「いてて……」


 いくら『アダマンタイト』で作られた防具を身に着けていたとしても、あの竜(ドラゴン)は強敵だった。炎の息吹(ブレス)で焼かれ、それなりのダメージを負ってしまっていた。


 俺はアイテムポーチから『薬草』を取り出す。ポーションよりも効き目は薄いが、何個も使用すれば同じ事だ。


 俺は『薬草』を5個使用して、体力(HP)を全快させた。


「……はぁ。これで何とかなったか」


 俺は胸を撫で下ろす。


 現状でも装備は相当に強くなった。現実的に入手できる金属として最も貴重で硬質な金属は『アダマンタイト』だ。故に現実的に手に入る装備の中で最も強い装備は『アダマンタイト』を使用した装備、という事になる。


だが、非現実的な素材としては『アダマンタイト』を上回る金属としては『ヒヒイロカネ』があった。

『ヒヒイロカネ』こそが伝説的な金属であり、俺がロベルトに作った聖剣エクスカリバーのような、伝説級の武器を作る事が出来る、基本素材であった。


 無論、『ヒヒイロカネ』があるからというだけで伝説級の武器が作れるわけではない。他にも多少の素材が必要だった。


 だが、大前提として『ヒヒイロカネ』がなければ伝説級の武器を作る事が出来ないのもまた事実であった。


当然のように『ヒヒイロカネ』は『アダマンタイト』よりも希少な素材である。なかなか簡単には手に入らない。


 だが、もしかしたらこのSS級の地下迷宮(ダンジョン)である『ハーデス』ならば、その『ヒヒイロカネ』を手に入れる事もできるかもしれない。


 この地下迷宮(ダンジョン)は確かに危険な地下迷宮(ダンジョン)ではあるが、それに比例するように、レアアイテムを手に入れる事が出来るようになっている。


 もしかしたらこの地下迷宮(ダンジョン)でもがいていたらその『ヒヒイロカネ』を手に入れる機会が訪れるのではないか……。そんな気がしていた。


 そして、その予感は程なくして的中する事になるのであった。



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