第78話 変な声出さないでくれるかな?
「ぶおっ…………だから急に脱ぎだすなよ!」
俺は吹き出し、置いてあって布団を千葉に投げつける。
マジで心臓に悪い。下の方も爆発しそうだ。
「汗拭いて欲しいのに、脱がなきゃ意味ないじゃないの!」
「だとしても急に脱ぐのはどうかと思うぞ!?」
「それは………………しらない!」
と、千葉はそっぽを向く。
「それに、さっき熱測ってる所見るの恥ずかしいって言ってなかった?お前」
「そ!それは…………いいでしょ!今は服がびしょびしょで気持ち悪いんだもの。そんな事言ってられないわ………」
「熱測るところ見られるの嫌なのに?」
「嫌なのに!」
「………そうですか」
絶対に体を拭いてもらう方が恥ずかしいと思うんだけど?背中を全面露出させるわけだし。
でも、人によっては肌の大部分を見せるよりチラ見せの方が恥ずかしいという人もいるか。
まぁ、一部の変態に限るが。
しかも水色のフリルが付いたブラが丸見えだ。ホック部分がなんともエロい。
「は…………早く拭いてよ!…………恥ずかしいんだから」
顔を真っ赤にする千葉は、後ろの髪を前に下ろす。
汗ばむうなじ………目線を下ろすと、細く絹の様に白いくびれ。エロ過ぎる。
背中ってこんなにエロいものなのか?氷見谷との百合を見てる時より興奮する。
汗ばんでいるからなのか…………それとも距離が近いからなのか、どちらにしても究極のエロスなことは確かだ。
「ちょ―――ジロジロ見てないで拭いてよ」
落ち着かない様子で手遊びをしながら俺の方を見る。
その仕草、その表情―――――エロが止まらない。
どんなにエロくたって欲情はしない。氷見谷に申し訳ないし、あの時の二の舞になりたくないからな。
まぁあれは千葉に襲われかけたんだがな。今回が俺は襲う側だ。しないけど。
「じゃ、じゃぁ拭くからな」
ミニテーブルに置いてあるタオルを取ると千葉の背中を優しく拭く。
「んっ……//」
首から徐々に下へと場所を移動させながら拭くと、千葉は声を漏らす。
「あのー、千葉さん?」
「え?…………っ//なにっ…………あっ//」
「変な声出さないでくれるかな!?」
すごくやりにくいんですけど?これじゃぁ俺が千葉にエッチないたずらしてるみたいだ。
見方によってはエロい事なのだが、これは看病という健全な行為。
あんな声を出されると、いくら健全な事だとしてもダメな事をしてるみたいな感覚に陥るので困る。
「しょうがないじゃない…………ひゃう//気持ちいんだから――あうっ//」
「少しぐらい我慢する努力をしようか?」
「これでも――――んっん//……我慢してる………ほうよ……あっ//…」
千葉の声が漏れる中、俺は気にしないように背中を拭いていると、
「心葉~、生きてる~?」
部屋の外から声が聞こえたかと思うと、ドアが開く。
「色々買ってきたから安心し………て」
買い物袋を持った氷見谷は俺達の方を見ると言葉が止まり、袋を床に落とす。
「あ……………」
「ちょ……ぁ………」
俺達2人は氷見谷と目が合う。
一気に冷え切った場の空気。
「これは、その――――」
と、俺は言いかけるが、
「へぇ~、立川くんは病人を襲う鬼畜だったのね」
軽蔑の眼差しを向け、冷血な声でそう言うと、ゆっくりとドアを閉めた。
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