第77話 あせ………拭いてよ

 数十秒経つと、ピピピと音が鳴り、


「……………終わった」


 千葉は俺の肩を叩き体温計を渡してくる。


「んで、熱はーっと…………38度2!?まだ結構あるじゃんか」


「気分はだいぶ楽になったんだけどね~、体はだるいかな」


「そりゃそうだ、安静に寝とけ」


「うん、そうしたいんだけど……………」


 と、服をパタパタと仰ぐ。


「どうした?ポカリか?お腹空いたか?」


「あ、いや、その…………」


「なんだよ。俺が出来そうな事なら言ってくれ。今日は看病で呼ばれてるんだし」


「それなら遠慮なく…………………」


 と、おもむろに千葉は服を脱ぎ始める。


「ちょ!おまっ!………なにしてんだよ!」


 俺は絶叫し、目を隠しながら慌てて顔を背ける。


「ちがっ!これは――――――エッチなことするんじゃないんだからね!?」


 布団を被ると、赤面しながらそう言う。


「ならなにするって言うんだよ!」


 横目で少し露出する千葉の肌を見て、赤面しながら答えると、


「なにって…………その……………」


「やっぱエロいことなのか!?」


「だから違うって言ってんでしょ!」


「ヴぉふ――――」


 千葉が絶叫しながら投げた枕がクリーンヒットし、俺は後ろに倒れる。


「…………って、枕投げる事じゃないだろ」


 起き上がると、頭を抑える。


「なら最初から静かに私の話を聞きなさいよ!」


「………それはすまん」


 でも、いきなり服を脱ぎだすのはどうかと思う。誰だって勘違いするし動揺するだろう。

 いくら、俺が千葉の裸体を見た事があるからって、動揺しないわけがない。

 見た時は、大体氷見谷の裸体も一緒だったし。


 それに、こんなに間近で脱ぎだされたら、俺の息子も反応する。それは意地でも隠すが。


「んで、ちゃんと聞くから話せよ」


 一度深呼吸をすると、座布団に座り直し千葉の方を見る。

 すると、千葉は布団を置き、パジャマを脱ぎ背中を露出させると、


「あせ………………拭いてよ」

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