第55話 好きな人

「なんでいないの!?」


「いないのが普通だろ」


「普通の男子高校生はいるでしょ!?知らんけど!」


「知らないなら言うなよ」


「女子はよく恋バナで盛り上がってるわよ!?」


「男子じゃないじゃんか」


「とにかく!高校生は好きな人が居てキャーキャーするのがいいんじゃない!」


 千葉は高校生をなんだと思ってるんだ。

 誰しもが好きな人いるなんて考えはおかしいだろ。普通の高校生は勉学と部活に力を注ぐものだろ。好きな人なんかいない方が当り前だ。


「じゃぁ聞くわ。なんで好きな人いないのよ」


「なんでって、理由なんてあるのか?」


「あるでしょ?タイプの子がいないとか、単純にモテないだとか」


「おい、失礼だろ最後のは」


 当たってる。当たってるからなおウザい。モテなくてなにが悪い、別にモテたっていい事ないだろ。


「ならタイプな子がいないの?」


「いや、ぶっちゃけ可愛い子ばっか」


「ならできるでしょ!?」


「それが問題なんだよ」


「どうゆうこと?」


「色々な人に目が行ってさ、一人に絞れない」


「クズだ」


 俺をゴミを見るような目で見る千葉。

 自分でもそう思う。でも目移りするのは仕方がない。だって可愛い子が多いから。

 この世に可愛い子が一人だったら困らないのにな。あ、でもそれだったらイケメンに取られそうだからその案はなしだ。


「しょうがないだろ、可愛い子が多いんだから!」


「違うわ!好きな人ってのはさ!外見だけじゃなくて内面も見るものなの

!可愛い子がいっぱいいるのは当たり前じゃない!」


 ド正論を怒鳴られた。


「内面…………か」


 俺は顎をさすって考える。


「内面よ、大事なのは外見を選んだあとの内面よ!」


「確かに、ちゃんと恋人を作るなら外見のあとに内面が大事になるよな」


「そう!内面!」


 ドヤ顔をした。


「聞くが、千葉は氷見谷の内面はどこが好きなんだ?ゆうて性格の話になるけど」

 俺の問いに、


「氷見谷の好きなところ!?」


 千葉は顔を赤くした。


「そうだ。俺が言う前に手本を見せろ」


「なんでよ!今日はあんたの恋バナだって!」


「惚気は話さなくていいけど、そうゆう話はしてもらうぞ」


「はぁ!?………………イヤよ!」


「なら俺も話さないから」


 と、そっぽを向くと、


「むーっ……………分かったわよ」


 頬を膨らませながらも、千葉は承諾した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る