崩壊した世界

バブみ道日丿宮組

お題:くさい関係 制限時間:15分

崩壊した世界

「大体何年ぐらいになるんだ?」

「旅をはじめてから?」

 彼女は首を傾げつつ目の前を跳ねるうさぎから目をそらさない。

「うーん、こういう関係になった時からというか世界が崩壊してからか」

 えいやという一声と共に彼女が投げた槍がうさぎを穿つ。

「やった! 久々のお肉だよ! 高校生の時かね。まるで映画みたいだったよ。みんな奇病で倒れて、ミサイル攻撃、コンピュータの自爆と科学の歴史が一気に崩れたね」

「……あぁ」

 今では恋人関係にまでなったというか、なるべくしてなったくさい関係なのだが、あの時目の前で起こった奇想天外な出来事は一生忘れることはない。

「だんだん人と会うのも少なくなってきたな」

「そりゃ動物たちも影響でてるし、植物だって進化してるからどれが毒なのかわからないよ」

 手慣れた様子でうさぎを解体してく彼女には躊躇する様子はない。食うか食われるかの時代に今は戻ってしまった。

 オレは周囲を確認する。

 人間は人間を襲わないというのは昔のことで、今は味方が味方じゃない。集落というか団体ごとに暮らしてる感じだ。

 ただそれでもお互いは極力干渉しないという条件。怪我をした、何らかの災いの傾向があった時、子どもが産まれる時に会議が行われる。もちろん、食料も提供することは極稀にある。だが、基本は自分たちで集めてくることが基本だ。

 当然定期的に会議はあるにはあるし、オレがいる集落は基本リーダーを取ってる人が食糧をきちんと管理できる場所を作ってくれたおかげでなんとかなってるが、それも守ることも大事だ。

 人間による攻撃ーーいわば縄張り争い……知らない人間が近くにいないかなどの情報共有、食べることのできるもの、生きるための話し合いが必要なのはそういうわけだ。

「野生動物も肉食動物が少なくなったからか、最近は増えた気がする」

 いや……どこからか逃げてきたかーーとかか?

「……災いの元は死んだんでしょ? 公開処刑っていう名目で中継されてたから、そんな複雑な顔しなくても大丈夫だよ」

「念のためってこともあるからさ」

 第2、第3の崩落がありえないとは限らない。

 元々あんだけのバイオテロなどを起こしたのを1人でしたというのが信じられない。未来人、宇宙人など様々な可能性とコンタクトをとったものの行動としか思えない。

「心配性だな。そろそろお父さんになるんだから、もっと私たちのことも見てよね」

 捌き終えたうさぎをいつの間に用意したのか、簡易キッチンで焼き始めてた。

「わかってる。この世界にはもうオレたちしか味方はいないんだからな」

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崩壊した世界 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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