脱出先にある未来は平和?
バブみ道日丿宮組
お題:気持ちいい冒険 制限時間:15分
脱出先にある未来は平和?
監視のない冒険は気持ちのいいものだ。
だが、いつこの手を掴まれるかの恐怖は消えない。
「お兄ちゃん、どこまでいくの?」
失った左手の代償に右手で掴めた妹という存在。
たった二人しか抜け出せなかったというのだから、あの監獄は本当に監獄最強だったのかもしれない。
「そりゃぁ逃げられるところまでだよ」
「そっか、そうだよね」
肩越しに振り返ると疲労の顔を妹は浮かべてた。
わからないわけじゃない。
ここ数日間ほぼ休憩なしで引きずるようにして前へとただ進んでる。
「本当にお父さんたちのところにあえるの?」
「……わからない、けれど、手紙通りのやり方で抜けれただろ?」
家族だけが理解してる暗号文字。
そんなものが看守である機械人に理解も解読もされなかった。素通りで僕らの何もない牢屋へとたどり着いた。
はじめは何かの間違いかと思った。
ここに投獄された時、確かにお父さんも、お義母さんも機械人の銃で綺麗に消滅したはずだった。だというのに、なぜこの手紙が、いやなぜこの文字がまだ残ってるのか理解できなかった。
『愉快な手紙だな。お前たちの働きに期待してるそうだ』
手紙を届けに来た1つ目の機械人は表情は硬い鋼鉄に覆われてるが、その声は普段聞くことのない酷く愉快な音声だった。
まぁ……愉快だったのだろう。
僕らをその後強制的な実験としていろいろな薬を投与してデータを取ってたのだから、そう普段の3倍もの量を僕らは実験体として弄られた。
結果、僕の左手は細胞が身体を蝕む兵器となり、機械人に問答無益で左手を切り落とした。そしてその腕を大事そうに持ってった。
そこからは警告の嵐だった。
ーーネズミたちの扉が開かれた。直ちに対処せよ。最悪消去しても構わない。
監獄の中は人の暴れる声、悲鳴、様々な音に支配された。
その中で僕は妹と実験部屋から隠し通路を通って、外に出た。
手紙どおりの道、扉が次々と現れて、まるで機械人が使う科学を魔法にしたかのような錯覚さえ感じるほど気持ちいい脱出だった。
「はやく会いたい」
ぎゅっとしたぬくもりが返ってくる。
僕も妹が大丈夫だよ。守れたよって自慢したい。
『二人の顔が見れますように、賽は投げられた。手順通り外に出て、まっすぐ進め。そうすればお前たちの道が出現する』
お父さんからの手紙にはそんなことが書いてあった。
それが意味する本当の意味を僕たちはたどり着いた施設で知ることになるとはこの時はまだ知らなかった。
脱出先にある未来は平和? バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます