好奇心

バブみ道日丿宮組

お題:赤い戦争 制限時間:15分

好奇心

 戦争が始まれば金になるとこと、青くなるところ、赤くなるところがある。

 それは戦争の非常さと経済の負の連鎖を表してる。

 だからこそ、やめようとしない。良い悪さがまるでここにあるかのように演じ、国民を誘導する。

 一つ一つは大したことのない話題がやがて波紋を呼び、波乱となる。

「……そして自滅か」

 街の中心地にある時計塔から見下ろす街は赤と黒に染まってた。

 王様がお金をたらふく集め、豪遊をしきってるなか街には活気が還元されない。私利私欲に走った王様の末路というべきか、一揆が起こるのは当然だった。

「誘導したあなたが言う言葉じゃないよね?」

 黒いフードをかぶった人物がふわりと何も存在しなかったはずの場所に生まれた。

「そうだね。ここの人たちを煽ったのは僕さ」

 情報は正しくはない。確かに王様がお金を集めてたことは間違ってない。

 間違いがあるとするなら、活気に溢れる街ではなかったということだ。

「また赤く染まる地図ができちゃうよ?」

「それで収まるならその程度の生きる覚悟しか彼らには最初からなかったってことだよ」

 僕は彼らに選択肢を与えた。

 国を滅ぼして、自分たちも滅びるか。国を滅ぼして、誰かが新たな王になるのか、あるいは……それ以外の選択を。

「戦争を拡大して隣街や、他国まで攻め入るところもあるんだ。人の考えることは何一つとして根本では変わってない」

 すっと近づいてきたフードの人物は僕と同じように街を見つめる。

「これはあなたの復讐なんだよね」

「さぁかれこれ3年もこんなことを裏でしてるからね、忘れてしまったさ」

 親を王が無実の罪で首吊りの刑にした。そのことも事実。それに怒りを感じたことも事実。

 僕が王の身体を引き裂いて、彼が愛した子どもたちに食わせたのも僕だ。

 どこからが復讐で、どこまでが復讐なのかなんて今更考えるまでもない。

 ここまで腐る人が僕は嫌いなんだ。

「まぁ私はいいけどね、暇つぶしにはちょうどいい活動だし?」

「人が死に続ける中で君も変わってるよね」

 そうとフードの下の口がにやつく。

 戦争を起こし続けてきた僕と彼女に正義はない。

 あるのはただ殺戮を見続けたいという純粋な気持ち。

「さて、ここの成り行きはどうせ誰かが伝えてくれるだろう。他の街へいこうか」

「あてはあるの?」

 頷き、

「ここの国が街が滅んでなければちょうどぶつけやすい街があるんだ」

 ちょっと遠いけれどなんてことはない。

 こんなものを見られる準備期間と考えれば、あっという間さ。

「そっじゃぁはやくいこっか。ここは臭いから」

「そうだね。君は綺麗な方があってるよ」

 ありがとうという彼女の言葉を最後に、僕と彼女は時計塔から、この街から最初からいなかったように消え去った。

 

 不死者がいるかと問い聞かれれば、それはあなたの隣りにいる僕なのかもしれない。

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好奇心 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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