216 『ミーティング』
ヒナが音を数えて三十秒後。
ヴィアケルサス大聖堂の前に、サツキたちもやってきた。
人数はヒナの判別した通り五人。
クコ、ミナト、アシュリー、スモモがいた。
これもリディオから聞いていた情報とも同じだった。
さっそくサツキがみんなを見回して、オリンピオ騎士団長たち
「みなさん、今回はありがとうございます」
「ご協力感謝致します」
続けてクコも一礼した。
最初に応じたのはオリンピオ騎士団長。
「感謝すべきはこちらのほうだ。本当にキミたちは慎み深いな」
「そうです。マノーラを守ってこそのマノーラ騎士団ですから」
エルメーテもそう言って、ブリュノが嬉しそうにサツキを上から下へと見ていく。
「また麗しくなったようだね、サツキくん。ああ、素晴らしい。その成長の早さ、他に類を見ないよ」
「いえ、まだまだです」
謙遜するサツキの一方で、クコは誇らしげに胸を張り、
「サツキ様は、わたしと初めて会ったときからずっとそうなんです。研鑽を惜しまず、成長し続けていて」
「ええ、そうです。サツキはそうじゃないといけない。これから大事を成さねばならぬのですから」
とミナトも言った。
今度はヒナが聞いた。
「さあ、いつまでもおしゃべりしてる暇はないわ。ぐずぐずしてたら
「そうですね。ここからの作戦の決定と行動は迅速でなければいけませんね」
リラはそう言いつつ、リョウメイの言葉を思い返す。
曰く。
「士衛組を好く思っているからこそ、士衛組を抱き込みたい。士衛組を未来仲間にしたい。そのために、恩を売りつけておきたい」
曰く。
「つばをつけておきたいわけや、鷹不二氏も碓氷氏も。つまり、ライバルと仲良うなられてそっちに味方されると困るっちゅう話やな。未来、強敵が増えてまうんやから」
曰く。
「うちかて、リラはんをうまあくコントロールして恩を売りつけておいて手中に収めておきたい気持ちもある。ただまあ、うちは《
曰く。
……。
…………。
様々なことを説いてくれた。
もし今日いっしょに行動していたのがリョウメイでなかったら、そこまで気が回らず、鷹不二氏にばかり恩を売りつけられていたかもしれない。
だが、その鷹不二氏から一人――スモモがこの場所にはいた。
「わたしの前でそんなこと言えるなんて、さすがは浮橋教授の娘だね。巨大宗教相手にも正面切って戦ってるあの胆力、父親譲りなのかな?」
スモモはおかしそうに笑った。
ヒナはバシッと自らの胸を叩き、
「あたしは
「おしゃべりはあとです。サツキさん、作戦はありますか?」
チナミが二人の会話を制止し、サツキに水を向けた。
「ここに来る前に考えていた。だが、難しいことはしない。作戦はシンプルだ。突入する」
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