142 『コロッセオギャザー』

 クコは精神を幼児退行させられ、同行しているスモモがクコにかかった魔法を解除するためサツキかロメオを探して二人で彷徨っている。

 リラは仲間を探しながらリョウメイに助言をもらうが、そのリョウメイは鷹不二氏を相手にするつもりでいる。

 ルカは魔法を駆使してヤエと歩き回った末、玄内と合流。

 玄内は状況を知り、士衛組への手助けをどうすべきかを考え。

 チナミはブリュノと行動を共にし、敵を探し続け。

 ナズナはマノーラ騎士団の団長・オリンピオらと迷子の少女・ロレッタを親元へと送り届ける最中。

 ヒサシはマノーラ騎士団たちから情報を仕入れ、スモモに報告、そのあととある人物に出会うのだが……。

 ヒナもまた、だれかと出会うことになる。

 そうした中で、『ASTRAアストラ』の情報局であるリディオとラファエルは街で動きながら味方の陣営の情報を統制。

 レオーネは鷹不二氏の参謀役・ミツキと出会い。

 ミツキと別れたオウシはチカマルと再会、士衛組を将来的に仲間へと引き込むため情報を探す。

 スサノオとゲンザブロウは目の前に現れた敵をただ倒しながら、直感に従って行動。

 そして、ロメオはコロッセオに来ていた。

『バトルマスター』狩合呂芽緒カリア・ロメオはコロッセオでは無敵の王者であり、『ASTRAアストラ』の軍事を司る『はいそうとく』の異名も持つ。

 そのロメオは、一人でいたところ、空間の入れ替えでどこかへ移動させられたのだが、もっとも近くに見えるランドマークがコロッセオだった。


 ――コロッセオ、か。あそこなら、だれか知り合いがいる可能性が高い。少なくともクロノさんがいる。また、大会翌日の今日でもコロッセオでは試合が行われている。多くの人が集まっているからこそ、外の状況を知れば混乱が起こるだろう。


 常に大勢の人で賑わうコロッセオは、やはり会場を人が埋め尽くして熱狂していた。


 ――これだけの人が外の状況を知れば混乱し抑制できなくなる。やはり、中にとどまってもらうのがいい。


 コロッセオのプログラムは、午前と午後で異なる。

 午前中は魔獣と人の戦いなどの見世物が多く、魔法戦士同士の戦いは午後からになる。

 当然、盛り上がるのは午後の部で、コロッセオと言えば魔法戦士の戦いなのだ。

 今は午前の部が終わり、午後の部が始まろうとしているところだった。

 休憩で『司会者』保見黒野フォーミ・クロノが裏に下がっている。

 都合のいいことに、クロノと話しやすい。

 そこで、ロメオは真っ先にクロノの元へと行き接触した。ロメオはシングルバトル部門とダブルバトル部門の『バトルマスター』なので、コロッセオではだれよりも顔が利くのである。

 関係者しか入れない場所にも入れる。

 これによって中に入り、クロノのところへ行き、外の状況を話した。


「なんですって! そんなことが!」

「我々『ASTRAアストラ』に敵対するサヴェッリ・ファミリーの仕掛けたことですし、必ず我々が解決します。サツキさんたち士衛組とオリンピオ騎士団長たちマノーラ騎士団も共同で当たっています。解決までどの程度の時間を要するのかは不透明ですが、夕方までには解決してみせます」

「では、それまでなるべく多くの人をこのコロッセオに集めておいて、混乱を防ぐのが大事ですね!」

「はい」

「任せてください! 今日はシングルバトルの猛者が集まっています。ダブルバトル部門は昨日大会があったので今日はプログラムにありませんが、シングルバトル部門でキャストは充分です」

「ワタシも参加しましょう」

「いいんですか? 事件の解決は?」

「そちらのメインキャストはサツキさんです。ただ、ワタシもリディオと連絡を取り合って、時を見て出動したい。ですから、まずは舞台に顔を出して、本日の最後、ワタシのバトルをセッティングしてくれますか?」

「もちろん構いません! ぜひお願いします!」

「三試合もすると言えば、お客さんも帰らないでくれるでしょうか」

「いやいや、三試合もあるって聞けばだれも帰りませんよ! なんせ、あの『バトルマスター』ロメオさんなんですから!」


 ありがとうございます、とロメオが言うと。

 スタッフのお姉さんがやってきた。


「クロノさん、そろそろ休憩終わりです」


 はい、と答え、クロノはロメオに向き直る。


「では、呼びましたら舞台までお越しください!」


 クロノが先に舞台に戻る。

 歩きながら、高々と演説でもするようにしゃべり出す。


「午前中も盛況でしたが、やっぱり午後は活気が違いますねえ!」


 クロノの登場に、会場はボルテージを上げてゆく。

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