69 『ノーマーク』
三人の敵が、空間の入れ替えと共に現れた。
ラファエルとリディオの視界に入った彼らもまた、こちらに気づく。
たったの三人。
彼らマフィアのボスでもない、単なる三人。
だが、うち一人は、ちょうど話していたシスター・ヨセファである。
『
しかし側にいるのは、サヴェッリ・ファミリーのマフィアではない。マフィアでないことがわかっている人たちであり、リディオとラファエルには彼らに関する記憶もあった。
リディオはぐっと拳を握って、ビシッとその拳を前に突き出した。
「おう! もちろんだ! 戦うしかないな! やるぞ、ラファエル!」
ああ、と答えて、ラファエルは三人を見据えた。
「ちょうどよかった。ちょうど、鼻についてたんだ。因縁と呼ぶには未だ蕾だけど、こんな蕾の花は、ここで散らすに限るからね」
「へへ。ラファエル、やる気だな!」
「気合は入るよ。シスター・ヨセファはともかく、サルマンとナラヤン。彼らは強敵だ。まさか、大会参加者たちと戦うことになるなんて思わなかった」
『怒りの鉄球』
本来、彼らとはサツキとミナトが戦うはずだった。しかし彼らは試合当日、姿を見せず失格となってしまった。失踪事件かとみんなで話していたのだ。
「なんの罪もない市民を利用するのは、ボクたち『
ヨセファはニヤリと冷笑した。
「威勢がいいことですヨ、ラファエルくん。生意気な口ばかり利いて、普段のあなたらしくないですヨ?」
「そうかな?」
「ええ、ですヨ。それもこれも、自分の間抜けさに苛立っていらっしゃる? だってお二人共、今までアタクシがサヴェッリ・ファミリーとは気づかなかったようですけど。本当は知らないフリをしてくれていただけだったり? それとも、本気? だとしたら、『
「ノーマークだったのは事実だけど、これで『
「評価するのはこちらですヨ。そしてアタクシの評価では、あなた方は能力不足な上、地動説などを唱え神と歴史を愚弄する
ラファエルは無表情にヨセファから視線を外し肩をすくめる。
「話にならないや。さあ、リディオ。試したら? ボクはサポートに回る」
「じゃあ行ってくる!」
リディオが走り出す。
すると、ヨセファがサルマンとナラヤンの背中に人差し指を突き立てた。
――きた。《
ヨセファの魔法《
そして、《
今もヨセファはサルマンとナラヤンをコントロールするために、なにかのコマンドを入力するようにツボを押したのだろう。
「リディオはヨセファを狙って。ボクはあの二人相手なら平気だから」
ラファエルはポケットに手を入れたままリディオに告げた。
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