67 『ピットトラップ』
「そこで話が終わってましたね。そうです、力になれるかは問題ではありません」
問題は別にある。
「俺たち士衛組は裁判を控えていて不安定ではあるけど、それゆえに今は士衛組の活躍を『
「そのあとの立場?」
サヴェッリ・ファミリーの襲撃事件を解決されると、人気が鷹不二氏のものになってしまう。それはわかる。だが、そのあとの立場に影響があると言われてもアシュリーにはピンとこなかった。
「不利になると言ったら大げさですが、士衛組が鷹不二氏の下風に立つことになります。そうするとのちのちまでずっと彼らの庇護を受ける関係性ができてしまう。彼らの下につく組織になり、あとはいいように使われるだけです。明日の裁判を控えた現状、ここでの活躍にはそれだけの効果があります」
「それは避けたいね。そう考えると、鷹不二氏の人たちは、素直に味方とも言えないんだね」
「敵はサヴェッリ・ファミリーやアルブレア王国騎士ですが、協力者の鷹不二氏は油断ならない存在って感じですね」
もちろん、サヴェッリ・ファミリーと敵対する『
「リラがいっしょにいる
「じゃあ、そっちも気にしておきたいね」
「はい」
気にしたところで、最重要な情報を取られたら仕方ない。だが、サツキは碓氷氏も警戒していた。
――スサノオさんがどう出るかはわからないけど、オウシさんは要注意だ。あの人には腹を読ませない独特の威風がある。おいしいところを取られるのは嫌だけど、あくまで補助的な働きで助けてくれても、そこに落とし穴を用意してそうな底知れなさがある。うまく恩を売ってくれるだけで済めばいいが。
オウシがサツキに花を持たせようとしてくれていることは、チカマルしか知らない。
しかし、それ以上のことはオウシ本人しか知らなかった。
サツキはアシュリーに言った。
「とにかく、俺たちも動きましょうか」
「うん。行こう」
二人が動き出そうとしたところで、次の空間の入れ替えが起こった。
「きゃっ」
アシュリーがサツキに抱きつき、次の瞬間には空間が入れ替わってしまった。
目の前には、知らない通りが広がる。
そして、マノーラ騎士団が倒れていた。
「あれって……」
と、アシュリーが口を押さえる。
マノーラ騎士団が横たわるそこに立っていたのは、サヴェッリ・ファミリーのマフィアだった。
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