66 『エクスペクト』
リディオ曰く、
しかしサツキには疑問もあった。
「士衛組は不安定だ。裁判を控えているし、最終目標であるアルブレア王国での戦いにも、勝てる確証はない。一度顔を合わせたとき、友好的には接してくれたが、鷹不二氏には
即、リディオは否定した。
『違うぞ。士衛組は不安定じゃない。茨の道を、着実に進んでる。そして、期待したくなるんだ。きっと、ロメオ兄ちゃんとレオーネ兄ちゃんがサツキ兄ちゃんたちに期待を持ってるみたいにさ。まあ、これはラファエルの受け売りだ。おれは、士衛組には応援したくなるなにかがあるからだと思う』
「二人の言葉、どちらもありがたいものだ」
『それにさ、士衛組の将来性とかミナト兄ちゃんとの友情とか、そういういろんな背景もあって力を貸してくれるんじゃないか?』
サツキは少しばかり驚いた。
「ミナトのことも知っていたのか」
『一応な。ミナト兄ちゃんって雲みたいにつかみ所ないだろ? 情報もふわふわしてるし、最初レオーネ兄ちゃんに言われて士衛組について調べ始めたとき、どうしてもミナト兄ちゃんの情報が足りなくて苦労したんだ。あ、話がそれちゃったな。それで、おれとラファエルも情報収集と情報共有をしていきながら動いていこうと思ってる。サツキ兄ちゃんに教えてもらった魔法の応用技、試してみたいからな』
リディオはサツキに、昨日の試合後にある助言を受けていた。リディオは電気信号を使って他者と通信するが、サツキが決勝で戦った相手・ツキヒもまた電気信号を扱う。リディオとツキヒが同じ電気信号の使い手だと知ったサツキは応用技を思いつき、リディオはそれを聞いて試してみたいと思っていたのだ。
「最初は少しその力を借りる程度に思って、軽めに試すのがいいんじゃないかな。そのあとちょっとずつ慣らす形で」
『おう! わかった! そうするぞ! さっそく行動開始だ! その前に、なにかおれたちに指示はあるか? サツキ兄ちゃんに従うぞ』
士衛組ではなく『
「では、先に俺の行動を話す。俺はまず、クコを探す。サヴェッリ・ファミリーのボスの居場所を探しつつ、クコにかかった魔法を解除するため再会を目指す。リディオは魔法の使用による疲労を考えながら、可能な範囲で情報の集積を。ただ、ここからはみんなも戦闘が続くだろうから、それほどこまめじゃなくてもいい。みんなも簡単に情報が入るわけじゃないしな。そして、俺には十五分から三十分おきに連絡を。あとは、リディオも敵を見つけ次第戦闘と情報収集を頼む。リディオの通信は替えがきかないし、戦闘は無理なくだぞ」
『おう! 了解! じゃあまたな』
通信が終わり、サツキはアシュリーに顔を向けた。
「俺の言葉でだいたい通信の内容はわかったかもしれませんが、士衛組は今みんなバラバラで、鷹不二氏が俺たちに協力的な感じみたいですね」
「うん」
とアシュリーがうなずき、聞いた。
「さっきの借りを作ってしまうって話だけど、士衛組では鷹不二氏の力になれるかわからないって話でもないよね?」
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