59 『グリッドステージ』
ミツキとレオーネは、状況報告をし合うことになった。
「その前に、ミツキがわかっていることを教えてくれ」
「構いませんよ。まず、私が見たことから」
先程、オウシらといた時にもマフィアが襲撃してきたことから、それがサヴェッリ・ファミリーと思われること、そしてそこからミツキが推測できたことを話した。
「なるほど」
最初にそうつぶやいたのは、ミツキがミナトと出会い、マフィアの襲撃に遭ったと話した時だった。そこからも穏やかに耳をかたむけていたが、話が終わると軽快に言った。
「やっぱりミツキはおおよそのことがわかっていたようだね。マフィアが襲撃したって聞いたところで、もうミツキには状況把握が済んでいると理解したよ」
「しかし、レオーネさんの推理はそれだけではないのでしょう?」
「まあね。オレに集まる情報はこのマノーラの最新の情報だ。そこから導き出されたことは、この街にかけられた大掛かりな魔法の正体と、それをした使い手がだれなのかだ」
「もうそこまでわかってしまいますか。さすがですね、『千の魔法を持つ者』レオーネさん」
「いや。『
「なるほど。知りたい情報も絞られているようですね」
レオーネが聞いた。
「それで、ミツキたち鷹不二氏はどうするんだい?」
「この件、我々鷹不二の方針は決まっています。友好関係にある士衛組を助ける。そのつもりです」
「だよね。じゃあ、オレたち『
「士衛組に加担する以上、そうなりますね」
「それなら、いっしょに行こう。ミツキ」
「ええ。それがよさそうです。ただし、私は鷹不二水軍一軍艦の中でも戦闘には不向き。レオーネさんのサポートに徹するとしましょう」
「ああ。助かるよ」
ミツキはメガネを指で押さえて、
「この街にかけられた大掛かりな魔法についてですが、そのあたりのことも話せる範囲で構いませんので教えてくれますか」
そう問うたとき、また敵が現れた。
今度はマフィアではなくアルブレア王国騎士のようだった。
人数は三人。
それをカードの魔法で平然と対応するレオーネ。
「もちろん話すが、オレもこれはまだ『
「そうですか。まあ、この混乱する街で、余計な情報は思考を鈍らせるだけですし、私も鷹不二のみんなにはまだ話さないおきますよ」
アルブレア王国騎士三人を眠らせ、レオーネは言った。
「そのほうがいいと思う。意外と驚くことになるからね。なぜなら、このマノーラという舞台装置は今……」
ミツキがレオーネと出会い、共に行動を開始した頃。
バラバラになったミナトとオウシの二人はそれぞれがひとりぼっちになってしまっていた。
鷹不二氏のトップ、『波動使い』
「まあ、ミツキもミナトも、一人で大丈夫であろうが、ほかの一軍艦や士衛組は場合によりけり」
オウシは《波動》の魔法で空を飛ぶこともできる。
上空に飛び上がって周囲を見下ろして確認すると、
「ふむ。で、あるか」
とつぶやいた。
「わしらのポイントが最初ではないかもしれんが、いくつかのポイントが同時に入れ替えられているようじゃ。区切りは碁盤の目状。が、しかし。この街は今、すべてが魔法にかかった作り物となっている。つまりは、偽りのマノーラが舞台装置となっている。これを仕掛けた術者は動かない目にいるか、この半径五キロ以上ある区画の外にいるか」
マントを風になびかせながらマノーラを眺め、目に見える場所に同じ一軍艦の仲間を発見する。
「このまま見ていればもう少しわかることもあろうが、謎解きはサツキに任せるとするかのう。今回、わしら鷹不二は脇役じゃ」
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