57 『コンフィバトル』
鷹不二氏の参謀役、『
マノーラの街のあちこちで空間の入れ替えが起こったせいで、こうして出会えたのは、奇縁というものだろう。
「空間そのものに干渉する魔法、か。お二人も無事だといいですが……。まさか、あなたに会うとは思いませんでした。お久しぶりですね」
そう言った相手は、『
「ああ。久しぶり、ミツキ」
「街に異変が起きたようですが、なにか知りませんか? レオーネさん」
ミツキが出会ったのは、『千の魔法を持つ者』
レオーネは腕を広げて、
「あまりに起きてすぐの事象だからね。オレには正確なことはわからない。が、想像を話そう」
「得意の推理を聞かせてくれる、と」
「オレにそんな特技はないよ、ミツキ。ただ、マノーラ騎士団からはたまに探偵役として『
と、レオーネは肩をすくめる。
「普段から推理力を鍛える機会があっていいですね」
「よくない事件ばかりだよ」
ミツキは、レオーネのことをよく理解していた。
鷹不二氏と『
特に、レオーネはミツキを意識しているらしい節がある。
逆にミツキからすれば、レオーネは『
だが、ミツキはクールにそれを表にも出さないが。
――レオーネさんの魔法《
ゆえに、推理力こそがレオーネのもっともすごいところだとミツキは見抜いていた。
――そのレオーネさんが言うのであれば、私はその推理を確かな情報として信じよう。だが……。
ミツキは腰に下げた愛刀『
「銃と剣、ですか」
つぶやき、レオーネの右後方と左後方へと順番に視線を投げた。
敵の確認が済む。
おそらく、風貌からしてマフィアだろう。
この動作で、マフィア側もミツキが気づいたことを理解する。マフィア二人も構えを取った。
しかし業物八十振りの一つであるそれを振るまでもなく、ミツキはカチッと刀を鞘に戻して構えを解く。
なぜなら、レオーネがマフィア二人を処理してくれたからだ。
「《フォッサファルサ》、《ポルタネッビア》」
レオーネの手の中にあった二枚のカードが宙を舞い、カードが後方へと飛んで消える。剣を持ったマフィアに一枚目のカードがぶつかって消えるが、二枚目のカードは銃を持ったマフィアにはぶつからず上空で消えた。
「うあああああ!」
銃を持ったマフィアは目を泳がせると、手足を動かしてじたばたして、叫び声を上げて気絶した。
また、剣を持ったマフィアはキョロキョロし始めて、
「な、なにしやがった! いや、まさか、また空間が入れ替わったのか?」
としゃべり出す。
そして、レオーネが軽やかに飛んでマフィアの目の前にやってくると、レオーネが肩にかけていた上着の袖が動き出し、マフィアを殴り飛ばした。レオーネの上着は《ファブリックアームズ》という魔法で、袖が本物の腕のように自在に動くのだ。
「どあァ! ど、どこから殴りやがった! おれになにをした!」
まだ威勢良く怒鳴るマフィアに、レオーネは問うた。
「その問いに答える前に、オレから質問だ。ボスはどこにいる?」
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