26 『トリプルアライ』
クコは目を閉じて考える。
「では、アルブレア王国騎士と組んでいるのがそのマフィアになる。つまり、三つのチームの連合軍が敵ということですか?」
「そうなるわね。対して、私たちは士衛組、『
「過信はよくありませんが、心強い味方ですね」
「ええ。ただ、この状況はすでに後手に回っているわけだし、気を引き締めていないとね」
「はい。ルカさん、さっそく行動を開始しましょう」
「仲間との合流、主犯格の特定。だったわね」
「はい」
副長らしくクコが下した判断に従い、ルカも動き出そうとしたとき。
後ろから敵の気配を察知する。
「今度こそ、間違いなくアルブレア王国騎士ね」
「そうですね!」
二人が振り返り、ルカが先制攻撃をお見舞いする。
「《
ルカの魔法により、地面からザッと生えた刀剣の林が騎士二人を行動不能にした。
残る一人は片足を負傷しながらも剣を抜く。
「くそう。なんて速攻だ、やつが『
「わたしもいます!」
「ややっ! 『
騎士とクコの剣は、クコのほうが速かった。
三人の騎士を倒すと、ルカは簡単な治療だけ済ませて命は助け、魔法道具を取り出した。
「先生が開発した魔法道具、《
ひょいと投げると、縄が勝手に動き、縄を投げられた本人もわざわざ動いて自ら縛れてゆく。
「投げられた相手は、それに触れてしまうと、自分で自分を縛るように動いてしまうんですよね」
「さすがに自縛するにも限度があるから、縛られやすいかっこうになるだけなのだれけどね。彼らは魔法を使ってなかったし、先生に差し出すまでもないわ」
「はい。マノーラ騎士団の方に頼みましょう」
そこに、一人の青年がやってきた。
「ここは任せてください」
青年はマノーラ騎士団の格好をしていた。
「マフィアとアルブレア王国騎士が襲撃をしてきたとリディオくんから連絡を受けています。マノーラ騎士団は『
「わたしたちをご存知なのですか?」
クコが聞くと、青年はおかしそうに笑った。
「当然、お話はうかがっていますよ」
「ではお任せします! わたしたちは仲間と敵を探して動きます!」
「はい、頑張ってください」
もうその場を去ろうとするクコだが、青年はルカを呼び止めて、
「あの」
「なんですか?」
「各地でマノーラ騎士団が士衛組の方々と『
「サヴェッリ・ファミリー……」
わかっていることがあればもう少し聞きたかったが、先を走るクコが振り返ってルカを呼ぶ。
「ルカさん! 行きましょう!」
ええ、とクコには答えて、ルカはマノーラ騎士団の青年にお礼を述べてクコを追いかけた。
クコまで三メートルの距離に入ったところで、ルカは今の話を伝える。
「今の人の話では、私たちの予想に間違いなさそうだわ。敵はアルブレア王国騎士と手を組んだマフィア。その名も、サヴェッリ・ファミリー」
「マフィアの名前までわかっているんですね」
「ルーリア海に浮かぶ島……カシリア島のマフィアよ。イストリア王国内ではもっとも危険な勢力だわ」
そう言ったとき、ルカは目を剥いた。
「え」
「景色が! ルカさん!」
クコが叫び、ルカに近づこうとするが、空間が入れ替わってしまった。
ここで、クコとルカが離れ離れになってしまう。
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