130 『ファイナルバトルスタート』
会場から大きな声援を受けて、サツキとミナトが舞台へとあがっていく。
二人の姿を見つけると、『司会者』クロノもうれしそうに声を張り上げる。
「こちらも出てきました! サツキ選手とミナト選手です! 先程は前回大会優勝バディー、王者スコット選手とカーメロ選手との激闘を制しての決勝戦です! おーっと!? サツキ選手の左腕もすっかり治っているぞ! この時間で元通りになっているということは、戦う準備も万全なようです! ぜひ全力と全力をぶつけ合ってくれー!」
舞台に立ち、サツキとミナトは対戦相手を見る。
ヒヨクとツキヒ。
同い年で、
三日前の試合では、この二人にしてやられた。サツキとミナトが唯一の敗北を喫したバディーだ。
近い将来晴和王国に戻って歌劇団のアイドルとなる美少年コンビでもある。
爽やかで華やかなヒヨク。
妖艶な魅力を持つツキヒ。
先に来て待ち受けていた二人が、声をかけてきた。
「来たね。サツキくん、ミナトくん」
「待ってたよ~」
「腕は治ったみたいだね」
ヒヨクに言われて、サツキが返す。
「おかげさまで」
「よかった。これで、思う存分戦える」
「だね~。おれたちも、棄権されて勝ったんじゃあ嫌だったから」
飄々とツキヒが小さく微笑む。
ミナトも負けず劣らず飄々としており、
「おしゃべりしていても仕方ないし、さっそく戦おうよ」
と促した。
四人の会話を受けて、クロノが進行する。
「待ちきれないのは我々だけじゃない! この場にいる魔法戦士四人も同じみたいだー! それなら、お望み通り試合を始めるぞー!」
観客たちも、わーっと沸いた。
「ヒヨクくーん! ツキヒくーん! 頑張ってー!」
「やーん、ヒヨクくんツキヒくんカッコイイー!」
「応援してるからねー! ヒヨクくーん、ツキヒくーん」
「ヒヨクくん、ツキヒくんファイトー! あたしたちファンがついてるよー! サツキくんとミナトくんも頑張ってね~」
「ミナトォー! スコットを負かしたおまえが最強だー! 愛してるぜ、ミーナトォー!」
全体的に、ヒヨクとツキヒの応援が多い。それも二人への黄色い声援がすごい。サツキとミナトにも期待や応援もあるが、未知数の強さを見せてきたミナトにはまたさらなる期待がかけられているようでもあった。
「前回、たったの三日前にもこの二組は戦いました! そのときはヒヨク選手とツキヒ選手が見事なコンビプレーを見せて、サツキ選手とミナト選手は敗北! しかし、二人はそこから勝利を重ね、今日この決勝戦のステージにまで駒を進めました! お互いの手の内は知っているようで、まだ見せていない切り札を隠している! そんな二組が最高の舞台で覇を競います!」
ますます観客たちも盛り上がり、クロノがいよいよ宣言する。
「それではまいりましょう! 最強のバディーを決める、『ゴールデンバディーズ杯』決勝戦! 『
力強いクロノの声が響いた。
決勝戦が始まった。
ミナトが駆け出そうと膝をわずかに曲げる。
しかしそれより先に、ツキヒが《シグナルチャック》を放った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます