84 『ワンバイワン』
サツキがまだ戦えることをミナトは確認し、二人でまたスコットとカーメロに立ち向かう。
スコットとカーメロは、その間にも相談していた。
「カーメロ。ヤツはヤバイ」
「
「ああ。オレが折ってやった剣で使える、《
「そのようですね。まあ、その《
「任せろ」
二人の相談が終わり、サツキとミナトも戦闘準備ができたところで、『司会者』クロノが両陣営を見比べて言った。
「互いに牽制しながら、再度作戦を練り直していた模様です! だが、準備もできたようです! 現状、一番キツいのはサツキ選手でしょうか! 傷だらけでいつ出血多量で倒れてもおかしくなくなってきています! ミナト選手も刀を折られて、残る刀はもはや一本のみ! 対して、スコット選手は無敵の無傷! カーメロ選手も余裕の表情です! さあ、ここからサツキ選手とミナト選手は巻き返して、試合を制することができるのか!? 後半戦、いよいよスタートだー!」
まず、カーメロが声をかけた。
「ボクはサポートに回らせてもらおう。見たかったキミたちの力も、満足するまで見せてもらったしね。あとは、『破壊神』がキミたち二人を蹂躙する」
「そういうことだ。二人まとめてかかってこい!」
スコットがバトルアックスの先をサツキとミナトに向けた。
自分一人ではミナトとどれほど戦えるか、どう攻めるのが正解か、スコットはわからなかった。だが、カーメロがいればその限りではない。二人相手であろうとすべてを破壊できると信じていた。
このスコットの強気には、ミナトに、
――僕がいくら攻めても崩せなかった鎧を、カーメロさんの邪魔がある中でどう攻略したものか。
と思わせるには充分だった。
ミナトはただ、
「楽しみだなァ」
とつぶやく。
つい感情が漏れるミナトとは反対に、サツキは怪我した肉体のつらさも見せないよう言い返す。
「一人ずつでいいなら、そんなに楽なことはありませんね」
しかし当然、サツキが無理しているのはスコットとカーメロにも見え見えだった。
「だったら始めようか」
「オレがすべてを破壊してやるぜ」
スコットが決めゼリフを吐くと、クロノが言葉を挟む。
「ついに『破壊神』が破壊宣言だー!」
サツキがミナトにささやく。
「作戦はシンプルだ。俺がスコットさんの間合いに入る。そしたら、ミナトは俺に合わせて攻撃してくれ」
これだけで、ミナトにはピンときた。
間合いに入るということは、サツキがスコットに対して拳を使って戦うことを意味する。
その場合、もちろん《
――サツキ、ボロボロになってても頭は回るようだね。サツキがスコットさんの間合いに入ったらやることは一つ。《ダイ・ハード》の解除。それに合わせて、僕が打ち込む。そして、サツキが動きやすいようカーメロさんの邪魔は僕の《
ミナトはにこりとうなずいた。
「了解。サポートも任せてよ」
「うむ。いくぞ」
二人が同時に駆け出す。
「サツキ選手とミナト選手、両者一斉に飛び出した! なにやら作戦もあるみたいだぞ! 二人のコンビネーションと真価が問われる場面、思う存分にかましてくれー!」
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