ここまでのあらすじ【王都編破から読みたい人向け】

ケース1 『寿司屋にて』

 へい、らっしゃい!

 お客さん、なんにします?



 え、話を聞きにきた?

 変わってるね、お客さん。

 うちは寿司屋だよ。



 いいのいいの!

 アッシ、こう見えてもしゃべるのも嫌いじゃないからね。

 もうなんでも聞いてよ。

 今日は特別になんでもしゃべっちゃうっ!



 ああ、あの人たちの話か!



 知ってるよ!

 もちろんじゃないの!

 だって、うちに食べに来てくれたんだよ?

 あのときは楽しかったなあ。



 うそ?

 あえて、それまでのほうの話?

 この王都に来るまでのほう?



 いいのいいの!

 アッシ、こう見えてもおしゃべりも嫌いじゃない口だからね。

 長いようで短い話になるから、ちょっとついでにお寿司も食べてってよ。



 短いならいいって?

 そんなこと言わずにさ。



 ありがとね!

 本日のおすすめいただきました!

 さて、じゃあ話そうか。

 これ、人から聞いた話も混ざってるから、それはご愛嬌ね。



 そうそう、八割以上人から聞いた話。

 まず、そうだねえ。

 サツキくんって子がいて、クコちゃんって子に出会ったのね。

 少年と少女が出会う、ボーイミーツガールっていうの?

 あれみたいよ。

 世界樹の根本で出会ったとかなんとかで、それで悪い騎士から追われて世界樹ノ森に逃げ込んだんだって。

 クコちゃんが王女で、なんか悪い大臣から国を取り戻すための冒険をしてるっていうんだよ。

 若いのに大変だよねえ。



 世界樹ノ森からどうしたのかって?

 戦ったり戦わなかったりして、あの広い森を抜けてさ、村に辿り着いたのよ。

 そこで、我らがアキちゃんとエミちゃんに出会ったんだってね。



 アキちゃんとエミちゃんを知らない?

 それだけは知っておいたほうがいいよ。

 二人は『トリックスター』っていう存在みたいよ?

 知り合いが言うにはね。

 アッシもそれがなんなのか知らないんだけどね。あははっ。

 とにかく明るくて良い子たちなんだよ、これが。

 そのあと、サツキくんとクコちゃんはいろいろあったんだってさ。

 泣ける話だよねえ。



 まだ泣けない?

 いや、アッシが聞いたところじゃあ、泣けるところもあったんじゃないかって話みたいだけどね。



 それからどうなったのかって?

 サツキくんとクコちゃんは、仲間集めを始めるの。

 手始めに、温泉街に寄って、医者の娘のルカちゃんって子を仲間にして、三人で王都に行くっていうじゃないの。

 しかも、王都でも人を探してるって言うんだよ。



 だれかって?

 一人はクコちゃんのいとこ。

 もう一人が、あの『ばんのうてんさい』。

 その二人を仲間にしたいんだってさ。



 そんなぼんやりした旅をしてたのか?

 なんかそうみたいよ?

 アッシも人づてに聞いて詳しくはないんだけどさ、大筋で言うとそんな感じみたいよ?



 で、なんやかんやで、頑張って探そうってときに、うちに来てくれたってわけよ。

 バンジョーくんって陽気な若者も来てさ、料理人だっていうんで寿司の話で盛り上がったね。

 ちなみに、アキちゃんとエミちゃんとバンジョーくんは、クコちゃんがアルブレア王国から晴和王国に向かう旅を共にした仲らしいよ。

 おっと、ここからは王都の話になっちゃうね。

 てことで、今回はここまでだ。



 この王都は世界最大の都。

 そこに来た三人の少年少女。

 たくさんの魔法が溢れ、漂い、交錯する街で。

 彼らは、人斬り事件と怪盗事件に巻き込まれていくんだよね。



 そっか、よかったよかった。

 一応、なんとなくわかったようなわからなかったような感じくらいには持っていけたかな。へへ。

 短い時間だったけど、お寿司のほうもいろいろ食べてくれてありがとね。

 またおいでよ?

 絶対だよ?

 まいどあり!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る